研究課題/領域番号 |
05557033
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
妹尾 久雄 名古屋大学, 環境医学研究所, 教授 (40135380)
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研究分担者 |
佐藤 雄一朗 東レ基礎研究所創薬第二研究室, 主任研究員
各務 伸一 名古屋大学, 環境医学研究所, 講師 (10115545)
吉田 純 名古屋大学, 環境医学研究所, 講師 (40158449)
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キーワード | ウイルス性肝炎 / 遺伝子療法 / インターフェロン / アシアロ糖蛋白 / 肝細胞培養 / リポゾーム |
研究概要 |
昨年の研究成果よりリポゾームを用いた肝細胞への遺伝子導入効率が低いことが明かになったため、本年度はアシアロ糖蛋白を受容体を介した肝細胞へのインターフェロン遺伝子導入を検討した。即ち、シアル酸を除去した蛋白と陽性荷電を有する塩基性アミノ酸リジンの重合体poly-L-lysineを共有結合させ、このリジンをDNAに会合させる坦体として用い、DNAを肝細胞膜に存在するアシアロ蛋白受容体を介して導入することを計画した。 1.アシアロ糖蛋白の調整 ヒトα-acid glycoproteinを購入し、これをアガロースに固定されたneuraminidaseとインキュベートした。この後、遠心によりneuraminidaseを除去し、DEAE sephacelカラムクロマトグラフィー荷より、シアル酸の除去されたasialo-α1-acid glycoproteinを精製した。また市販のasialo-fetuinも用いた。それぞれの蛋白から完全にシアル酸が除去されていることは非変性ポリアクリルアミド電気泳動により確認した。 2.遺伝子運搬坦体としてのアシアロ糖蛋白-poly-L-lysine共有結合体の作製 Asialo-α1-acid glycoproteinあるいはasialo-fetuinとpoly-lysineの共有結合体の作製には、carbodimide誘導体1-ethyl-3-(3-dimethylaminopropyl)carbodimide hydrochlorideを用いた。共有結合体は、sephadex G-100カラムクロマトグラフィーにより精製した。精製された蛋白の分子量は、75,000〜100,000でいずれもα1-acid glycoprotein、asialo-fetuinの分子量より大きく、共有結合体と考えられた。この共有結合体とトランスフェクションに用いいるplasmid DNAをインキュベート後、アガロース電気泳動で分析するとDNAの移動度は、著しく遅くなり、共有結合体がDNAと会合したことを示した。 3.アシアロ糖蛋白-poly-L-lysinを用いた肝細胞へのトランスフェクション アシアロ蛋白受容体を介した遺伝子導入では、導入されたDNAのlysozomal enzymeによる分解が考えられるため、lysozome機能を阻害するchloroquine存在下でトランスフェクションを行なった。ヒト肝癌由来の細胞株Hep G2を用いた場合、α1-acid glycoprotein-poly-L-lysinによる導入効率はかなり高かったが、asialo-fetuin-poly-L-lysineを用いた場合にはその導入効率は著しく低く、用いるアシアロ糖蛋白の種類により導入効率が規定されることが明らかにされた。
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