研究分担者 |
藤田 幸子 帝京大学, 医学部, 教務職員
山田 広樹 帝京大学, 医学部, 助手
臼杵 扶佐子 帝京大学, 医学部, 講師 (50185013)
松村 喜一郎 帝京大学, 医学部, 講師
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研究概要 |
Duchenne型筋ジストロフィー(DMD)はXp21.1に存在する巨大遺伝子の欠失,転座,重複により,その遺伝子産物dystrophin(-400kD)が欠損/機能消失した状態であり,Becker型筋ジストロフィー(BMD)は同遺伝子の同様の異常に基づくabberant dystrophinによる機能不全条態である。DMD遺伝子産物は400kD,116kD,71kD,apodystrophin等複数のisoformが存在し,骨格筋を含む多組織に発現するが,臨床的には骨格筋、心筋および脳の細胞死が主である。現在dystrophin欠損による細胞死(筋ジス発症)の機序は解明されていないが,仮説として形質膜直下に存在するdystrophinが形質膜内糖蛋白複合体を介して細胞外基底膜lamininに結合している為,この系の破壊により筋形質泣く破損を生じ筋細胞死を招くとの考えが提唱されている。 これに対し、DMD/BMDの治療法は全く確立しておらず、試みにDMD DNA/RNAの筋内局注,DMD遺伝子発現細胞の筋内局注,正常筋移植等が精力的に行われているが,極めて不十分である。本研究は第6染色体に遺伝子座位をもつdystrophin関連蛋白utrophin(400kD)がジストロフィー筋をrescueする可能性を考え、utrophin発現機序の解明とutrophin発現促進因子の同定を行い,utrophin upregulationによる治療法の開発の基礎資料を得ようとしている。初年度(H5)はutrophinの多く発現している組織の同定血管内皮細胞,線維芽細胞であった。肺は血管内皮細胞に多いと考えられる。ただし,dystrophinと異なり,形質膜直下のみでなくcytosolに多く局在しており,異種のutrophinが同一細胞に発現している可能性があり生化学的に検討を続けている。
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