研究概要 |
Duchenne型/Becker型筋ジストロフィー(DMD,BMD)はXp21.1megageneの欠失,重複,転座,点突然変異により発症する事が判明して以来,その治療法の開発が問われている.本研究はutrophinによるdystrophin代償療法の可能性を探っている.骨格筋心筋の膜直下には400kDa dystrophinが発現しているが,平滑筋ではその約1/10,脳では約1/100しか発現されない.一方脳肝肺等の非筋細胞は71kDaの,また末梢神経は116kDaのdystrophin isoforms(それぞれDp71,Dp116)が発現しており、utrophinは全ての細胞で発現する.筋400kDa dystrophinおよびutrophinは膜のdystroglvacans,sarcoglycans,25kDa蛋白,syntrophins(以上dystrophin-associated glycoproteins,DAGs)と結合し細胞外基質merosinと架橋形成することが示されてきた.このような中で,非筋組織でのdystrophin family/utrophinとDAGsの発現結合状態を検討し,1.中枢神経ではDp71,DAGsは網膜小脳海馬に微量しか発現しない.2.末梢神経ではDp116/utrophinがSchwann cell細胞質に瀰慢性に発現,これとは別個にdystroglycans,syntrophinsが髄鞘最外層に発現しmerosinと結合している事を発見した.Dystrophin/utrophinは非筋細胞では細胞質内に存在し筋膜の形態保持とは全く異なる機能に関与すると予想され、DRP upregulationの非筋細胞への影響も考慮されねばならない.DRP発現調節因子を含め,なお検討中である.
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