研究概要 |
平成6年度までに特異的抗DRP抗血清を開発し免疫組織およびmRNAレベルで組織特異性を検討した結果、DRPは血管内皮・神経系を含む非常に広範な細胞に発現しており、しかもその局在は骨格筋とは異なり細胞質全域に分布すること。従ってDRPは非常に広範な細胞で何らかの重要な機能に携わっている可能性が考えられた。またDRP発現調節の特異的因子は検討した限りでは同定できず、specific upregulator for dystrophinとしてdibutyryl cAMPが同定されたのみであった(BBRC210: 654-659, 1995)。その為非筋細胞でのDRP機能が解明されない限りDMD治療に応用は困難であると考え、非筋細胞でDRP及びその結合膜糖蛋白群の機能解明をすすめた。これはその発現量の多さから末梢神経のSchwann細胞をえらび、DRP/dystrophin isoform=Dp116とdystrophin-associated glycoproteins (DAGs)との関係をもとめた。その結果、骨格筋とは全く異なる関係が判明した。即ち、1.DRPとDp116ともに形質膜直下に存在するばかりでなく細胞質にも広く分布し,DAGsとのみ結合するものではない。2.DAGsは120kD α dystroglycan, 43kD β dystroglycanのdystroglycan complexが細胞外の神経型lamininと架橋をつくる。3.dystroglycanは細胞外agrinとも結合する。4.その結合には α dystroglycanの糖鎖が重要でシアル酸構造が担っており、Caionを必要とする。 5.sarcoglycan and syntrophin complexesは存在しない。今後DAGs結合DRPと非結合DRPの機能解明が必要であり、特に髄鞘形成との関係で検討を開始した。
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