研究概要 |
1)心血管病変の成立,進展における細胞間接着分子の解析 心筋虚血再灌流,心筋炎,特発性心筋症:ラットの冠状動脈前下行枝を一時的に結紮解除を行なうことにより虚血再灌流を引き起こすモデルで,インテグリンファミリーに属する細胞間接着分子,ICAM-1及びセレクチンファミリーに属する接着分子CMP-140の発現が亢進していることを明らかにした。さらに,心筋虚血再灌流、心筋炎,心臓移植の動物モデル及びラット虚血再灌流モデルに,特異的に発現の増強している細胞間接着分子の機能を阻害するモノクローナル抗体または糖鎖を投与し,その障害が減少することを心エコー装置及び組織染色検査で明らかにした。 2)細胞間接着分子の発現とその機能調節における細胞内情報伝達系の解明 培養心筋細胞,血管内皮細胞あるいは血管平滑筋細胞に虚血再灌流刺激(低酸素濃度の培養液での培養に続く定常酸素濃度培養液への変換)を行ない,細胞間接着分子の検討を行なうとともにその細胞内情報伝達系におけるCキナーゼ,Raf-1キナーゼ,MAPキナーゼキナーゼ,MAPキナーゼ,S6キナーゼの関与をそれぞれの特異的基質のリン酸化反応を解析することにより明らかにした。 より効果の高い抗体の選択,ペプチド,糖鎖あるいは細胞内情報伝達系の特異的阻害剤の合成と選択を進行させ,臨床への導入をはかるため,サル等高等動物での解析,毒性検査と生体内動態を明らかにすることは,次期の研究主題となる。
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