研究課題/領域番号 |
05557040
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
永井 良三 群馬大学, 医学部, 教授 (60207975)
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研究分担者 |
鍋島 陽一 国立精神神経センター, 神経研究所, 研究員 (60108024)
黒尾 誠 国立精神神経センター, 神経研究所, 研究員
新井 昌史 群馬大学, 医学部, 助手 (60270857)
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キーワード | 平滑筋 / 動脈硬化 / ミオシン / 解離性大同脈瘤 / トランスジェニックマウス / SM1 / 2遺伝子 / 老化 / イムノアッセイ |
研究概要 |
筋肉細胞に含まれる酵素や収縮蛋白は筋が壊死に陥ると血中に流出する。これは筋ジストロフィーや急性心筋梗塞などの診断に極めて有用な検査法となっている。本研究ではまず平滑筋特異的なミオシン重鎖を単離精製し、これに対する特異的モノクローナル抗体を作成し、イムノアッセイを確立した。平滑筋ミオシンは急性大動脈解離の症例で、発作の24時間後に血中で上昇し、診断の感度は85%、特異性は97%であった。 一方、平滑筋ミオシン遺伝子を用いた疾患モデル動物の開発を行うため、SM1/2遺伝子を単離し、そのプロモーターを利用して平滑筋特異的に発現する遺伝子導入を行ったが、SM1/2遺伝子の5'末端のプロモーター領域だけでは、平滑筋特異的遺伝子発現を規定することはできないことが判明した。しかしながら、平滑筋増殖に関与するNa/H逆輸送担体のトランスジェニックマウスを作成したところ、導入遺伝子は染色体に組み込まれながらもmRNAが発現していないマウスをスクリーニングし、偶然、テロメア領域の何らかの単一遺伝子がノックアウトされた、いわゆる挿入変異insertional mutagenesisの系を樹立した。そのマウスを病理学的に解析すると、平滑筋増殖と石灰化を伴う著明な動脈硬化病変が認められ、挿入変異により生じた新しい血管障害のモデル動物であることが判明した。すでに原因遺伝子は数kbの範囲で同定されており、cDNAと蛋白を単離することによって、平滑筋分化や細胞老化、さらに血管の病態形成を抑制する内在性の分子機構の解析が可能になった。
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