研究概要 |
定量的SPECTに関する本年度の研究は,数値ファントムを用いてガンマ線の吸収を補正するアルゴリズムを追及することに終わった。この方法は,解析的修正と逐次的修正の組み合わせからガンマ線の吸収を補正することで,Changの方法によっている。最初の解析的修正においては,元の投影データから画像を再構成し,これを修正係数で補正する。次の逐次的修正においては,(1)修正した画像を再投影して新しい投影データを求め,(2)これと元の投影データの差,すなわち誤差データから画像を再構成し,(3)この画像を先に求めた画像と加算して新しい修正画像とする。再び,(1)のステップに戻り,それ以下の手順を誤差が最小になるまで繰り返す。こうした二段階の修正で吸収補正を行う。 この方法は,減弱係数が均一であると近似出来るとき,その有効性が評価されている。この方法は,アルゴリズムが比較的簡単なため計算時間が短いという特長を有し,臨床応用上の大きな利点をもっている。このため,我々はこの方法を異なった減弱係数から構成される数値ファントムに適用してその有効性を調べた。誤差データが不均一情報に敏感な量でなかったため,逐次的修正の効果が期待された程あらわれず,満足な結果が得られなかった。この方法においては,媒質中の不均一情報を敏感に反映する物理量を見い出すことが吸収修正の鍵となることがわかった。 この問題を引き続き追及すると同時に,X線CTデータを利用した吸収散乱補正の方向性を確立するのが今後の課題である。
|