研究概要 |
1.CNP関連薬剤の開発にあたって、CNPの病態における役割を明らかにする目的で、心血管疾患患者血漿中のCNPを測定した。心不全、高血圧症患者では変化がなかったが、敗血症患者において正常の10倍に達する上昇が認められ、内皮由来のCNPがヒトの病態に密接に関わっていることが明らかになった。 2.CNPの生理的役割を知る目的で、脳背髄液中のCNP濃度、妊娠子宮におけるCNP受容体であるGC・B受容体、および培養腎上皮細胞LLC・PK_1におけるGC・B受容体の発現を検討した。ヒト髄液中のCNP濃度は、ANP,BNPに比較して有意に高く、中枢神経系におけるCNPの重要性が示唆された。一方、妊娠子宮、腎上皮細胞では、GC・BよりもGC・A受容体が多く発現しており、ANPが主要な働きをしていると考えられた。 3.CNP関連薬剤開発のモデルとして、トランスジェニックマウスを作製する目的で、マウスCNP遺伝子構造を解明した。マウスCNP遺伝子は染色体1番に存在し、少なくとも2個のエクソンと1個のイントロンから成ることを明らかにした。更にCNP中和モノクローナル抗体を開発し、モデル動物における有用性を確認した。 4.動脈硬化治療におけるCNP関連薬剤の作用機構を解明する目的で、血管壁におけるGC・A,GC・B,C受容体のカテコラミンによる調節を検討した。その結果、β_2受容体刺激によりC受容体のみがダウンレギュレーションを受けることを見出し、交感神経系と血管壁ナトリウム利尿ペプチド系の関連が明らかとなった。
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