研究課題/領域番号 |
05557054
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
冨田 公夫 熊本大学, 医学部, 教授 (40114772)
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研究分担者 |
稲垣 治 山之内製薬株式会社, 筑波研究所, 研究員
竹中 登一 山之内製薬株式会社, 筑波研究所, 所長
寺田 典生 東京医科歯科大学, 医学部, 助手 (30251531)
野々口 博史 熊本大学, 医学部・附属病院, 助手 (30218341)
丸茂 文昭 東京医科歯科大学, 医学部, 教授 (00050443)
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キーワード | トランスジェニックスマウス / カリクレイン / 腎 / ナトリウム / 高血圧 / 一酸化窒素 / 糸球体 |
研究概要 |
高血圧の90%は原因不明の本態性高血圧であり、その原因の一つに腎の調節異常が重要な因子として考えられてきている。本態性高血圧症では降圧系のカリクレイン-キニン系の異常低値が知られている。キニンは血管系では一酸化窒素(Nitric Oxide)を介し血管拡張させ、尿細管ではNa利尿をおこし血圧を下げる方向に作用する。このたびの研究の目的は最近クローニングされたカリクレイン抑制たんぱくの遺伝子をマウスに発現させ本態性高血圧症の成因になりうるかを探り、同時に新しい降圧薬を開発する事にある。このカリクレイン抑制たんぱくmRNAは腎臓では髄質部、特に髄質内層集合尿細管に発現している事がわかった。本態性高血圧のモデルであるSHRにおいてカリクレイン抑制たんぱくmRNAはWKYと同様の分布を示したがSHRにおいてむしろ低値を示した。SHRや本態性高血圧症の尿中カリクレイン活性の低下、尿中キニン低下から考えるとカリクレイン合成自体にも異常が存在する可能性がある。血管作動性ペプチドであるエンドセリンについてはエンドセリンmRNAはSHRとWKYで差は見られないがエンドセリン変換酵素mRNAは糸球体・近位尿細管以外の尿細管において発現が亢進していた。このように血管作動性ペプチドの亢進している環境で降圧系因子の低下は血圧上昇の因子として重要であろう。現在の所カリクレイン抑制たんぱくの遺伝子の単離が不十分であるが第一段階として種々の強力なプロモーターを結合させその発現について検討中であり、まだ不十分な結果しか得られていない。
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