研究課題
近赤外領域の拡散スペクトルの臨床的実用化として、脳組織へ入射する光と、脳組織より出射してくる光の特に頭皮や頭蓋骨レベルでの吸収、多重屈折、反射などの影響を除去するために、受光部を多ポイント化した光ファイバープローベを試作し、差スペクトルをコンピューター制御により自動解析を行い、従来不可能であった頭蓋骨内の脳組織の吸収スペクトルを特異的に測定してoxygenationの変化に起因するHb等のchromophores各物質の濃度変化をrealtimeでin vivoで且つin situで正確に測定し、臨床的に未熟児、新生児の脳障害の予防、治療に資することを究極の目的とする。基礎的検討として新生仔豚を用いて、頭皮上と硬膜上から脳組織のoxygenationの指標として脳内Hb酸素飽和度や総Hb、水の変動を、無呼吸負荷中およびその前後で測定し、多ポイント化により頭皮上よりの測定は硬膜上よりの測定と殆ど差を認めないことを証明した。さらに臨床的的検討として、日令7以内の成熟新生児においては、多ポイント化で求めた脳組織内Hb酵素飽和度(70-80%)やcytochrome coxidaseの酸化型は、受光部を1本で測定した値より高値を示し、特にcytochrome coxidaseをより正確に測定するためには多ポイント化が必要であることが確認された。また新生児仮死における経時的変動も検討した結果、新生児期早期においては脳内総Hb、Hb酸素飽和度やcytochrome coxidaseの酸化型は正常児と比較して高値を示し、以後減少する傾向が確認された。これからは、未熟児においても脳の拡散スペクトルと血圧、血液ガス、脳波などの対比を行い、未熟児における脳内oxygenationのモニターなどとしてこの機器の臨床的意義を確立する。
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