研究課題/領域番号 |
05557055
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研究機関 | 香川医科大学 |
研究代表者 |
大西 鐘壽 香川医科大学, 医学部, 教授 (40080014)
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研究分担者 |
平尾 佳 大塚電子(株), 研究開発1部光散乱グループ, 研究員
日下 隆 香川医科大学, 医学部・付属病院, 助手 (50274288)
今井 正 香川医科大学, 医学部, 助手 (60176477)
磯部 健一 香川医科大学, 医学部・付属病院, 講師 (00159815)
伊藤 進 香川医科大学, 医学部, 講師 (80145052)
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キーワード | 近赤外スペクトル / 脳酸素飽和度 / 多ポイント測定 / 新生児 / HbO_2 / Hb / cytochrome c oxidase / 定量化 |
研究概要 |
新生児期における低酸素虚血性脳症の予防と管理のみならず未熟児への酸素毒性を回避する的確な酸素投与を行なうための指標として、近赤外線領域の連続NIR spectrum(cNIRS)を利用して、脳組織内の酸素化状態やエネルギー状態を把握する方法を考案した。それは、cNIRSを多ポイント測定し、拡散スペクトルの平坦化の補正、各スペクトルにおける光路長の違いを規格化により、脳組織内のHbO_2/Hbと酸素飽和度(SbO_2)、cytochrome coxidaseのredox state、脳血液量(CBV)を絶対値表示でreal timeに非侵襲的に測定する方法であり、固体間の比較が可能であることを証明した。 今回はその近赤外分光測定装置による、脳エネルギー代謝測定の臨床的基礎的検討として、多血症児の部分交換輸血前後での測定及び極低出生体重児を含む早期産児を対象として生後早期の測定と無呼吸発作時における経時的な測定を行った。これらの結果、(1)多血症児の部分交換輸血においては、脳内総Hbは交換輸血後約10%減少した。また動脈血Hctの減少に比例して、直線的に脳内総Hbは減少した。(2)早期産児の日齢0における脳内酸素飽和度は約50〜75%であったが、生後1時間以内に40%前後の低値を示し、以後増加する症例も認められた。(3)無呼吸発作時には、SbO_2とcytochrome c oxidaseの酸化型が減少し、cytochrome c oxidaseの酸化型はSbO_2にやや遅れて減少した。以上の成績より、極低出生体重児を含む早期産児を対象として、ベットサイドにてreal timeに脳内HbやSbO_2の経時的変動を明らかにすることが可能となり、脳循環動態の把握、特に脳内Hbの定量性や酸素化状態の把握などにcNIRS測定が有用であると結論された。
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