研究概要 |
1.ウサギおよびラットCD14 cDNAの分離:ウサギおよびラットのCD14(rabCD14およびratCD14)cDNAを分離し、全塩基配列を決定した。2.リコンビナントCD14(rCD14)の作成:マウス、ウサギおよびラットのrCD14を大腸菌系pETベクターで発現させた。mCD14は全長およびLPS結合部であることが予測される部(アミノ酸番号57-64)を含むアミノ酸番号1-71の領域を発現させた(1-71蛋白)。rabCD14とratCD14については1-71蛋白のみ発現させた。3.mAbの機能活性:in vitroにおけるLPSによるMφのTNF-α産生に及ぼすmAbの効果はrmC5-3は予想に反してTNF-α産生を強く亢進した。他のmAbは軽度ながら抑制した。pAbは抑制した。この様になおLPSの作用を強く阻止するmAbはなお得られておらず、mCD14,rabCD14およびratCD14の1-71蛋白による抗体作成を行っている。4.抗体のTNF抑制効果の検討:これらのin vitroおよびin vivoにおけるTNF遊離やエンドトキシンショック(ES)におよぼす効果を検討した。この結果、pAbのF(ab')2はin vivoでもTNF-αの血清濃度を低下させることを明かにした。5.マウス可溶性mCD14(smCD14)の検討:ELISA法により正常およびLPS刺激に伴うsmCD14の推移を検討した。6.Kupffer細胞(KC)および腹腔MφにおけるmCD14、CD18、TNF-α、IL-1βおよびIL-6の発現形式から見たmCD14の意義:肝臓および腹腔MφのmCD14および諸サイトカイン発現の検索からmCD14の意義を検討した。7.mCD14とFcγRII/IIIとの関係:FcγRII/IIIがmCD14を介したLPSの刺激伝達に強くかかわている所見を得た。8.膜結合型および非結合型rCD14遺伝子導入マウス(M14MおよびM14S)の作成と解析:メタロチオネイン遺伝子上流配列をプロモーターとし、nativeおよびC末端を欠如したsmCD14を産生し得るmCD14遺伝子を組み込んだトランスジーンを用いてM14MおよびM14Sを作成した。M14Sでは末梢血smCD14値が高いことをウエスタン法やELISA法で明らかにした。さらに、M14SではLPS投与後の末梢血TNF-αおよびIL-1βが低値であることを観察した。しかし、LPS大量投与によるESに対する有意の効果はなお得られていない。9.mCD14ノックアウト(KO)マウスの作成:KOマウス作成に着手した。
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