研究課題
今年度の研究の内容の主なものは胃造影剤用磁性流体の改良、計測システムの改良、及び解析方法の高度化である。まず、胃造影剤用磁性流体の改良については生体への非吸収性を重点的に行った。これまでの磁性流体は第2界面活性剤にDKエステルSS(正式名、ショ糖脂肪酸モノエステル)を使ったものであったが、これは生体に吸収される傾向が、個体差はあるものの見られ、また低粘度時には胃液に対して若干の凝集沈澱が見られた。このようなことを踏まえて、磁性流体を改良した結果、毒性のない第2界面活性剤としてモノパルミチン酸ポリオキシエチレンソルピタンを用いたものが、耐消化性、及び非吸収性に優れた結果を示した。次に、計測システムの改良については計測時間の短縮、S/N比の向上に重点をおいた。これまでの計測方法では全てのデータをサンプリングするのに約140時間要していたが、これはこれまでの測定センサであるホール素子の感度不足、及びデータの周期性によるところが大きく、この問題を解決するために新たにフラックスゲートの原理に基づくセンサを用いた。これにより測定時間を実用的な時間に短縮することが可能になった。また、実験動物を用いた測定が可能な大きさのコイルを新たに制作した。最後に解析方法の高度化としては、これまでの解析方法は胃形態の2次元写像を導出しそれらを再構築することによって3次元形状を得ていたが、2次元者像の導出方法にいくらかの誤差がみられたためその高精度化を行った。また、胃排出能の評価法を確立するために磁性流体濃度と磁束密度の実測値、理論値の検討を行った。その結果、磁性流体濃度と磁束密度の関連性が確認され、磁性流体を用いた胃排出能評価が可能となり、実用化への見通しが明らかとなった。
すべて その他
すべて 文献書誌 (2件)