研究課題
試験研究(B)
本研究の目標は、放射線を用いず、簡便で広く普及できる胃排出機能検査法を開発することで、本法の原理は非吸収性の磁性流体を飲用し、一様磁場中においた際の磁界頻度、および磁界強度を計測して磁性流体の分布状態に関する情報を得ることである。その原理に基づき、胃の形状および磁性流体の胃内残存量を評価して胃の形態および胃排出動態をリアルタイムで観察することが可能となるシステムの開発をめざした。そのため、(1)生体にとって適正な磁性流体の開発、(2)計測システムの開発および精度の研究を行ってきた。検討の結果、生体にとって適正な胃排出機能測定用磁性流体の条件として、毒性がないこと、消化管から吸収されず、凝集などを起こさないことをみたすものとしてマグネタイト粒子の表面を第2界面活性剤としてモノパルミチン酸ポリオキシエチレンソルビタンで被覆したものが適当であることが判明した。一方、計測システムの改良としては、データのサンプリングに長時間を要していたことが実用化上の問題点となっていたが、測定センサーであるホール素子の感度不足、およびデータの周期性によるところが大きかった。この問題を解決するために新たにフラックスゲートの原理に基づくセンサを用いることにより、測定時間を実用レベルまで短縮する事ができた。さらに、形状の描出については2次元写像を導出し、それらを再構成することによって3次元形状を得ていたが、その導出精度をより向上させることに成功した。また、胃排出の量的評価法を確立するため磁性流体濃度と磁東密度の実測値、理論値の対比を行い、これらの良好な相関性が確認され、胃排出能の量的評価も実用可能であることが示された。
すべて その他
すべて 文献書誌 (4件)