研究課題
インドシアニングリーン(ICG)は805nmの近赤外光領域に吸収のピークを有する性質を利用して、肝臓におけるICGの吸収、排泄の過程を解析する、肝臓用の生体近赤外光分析装置を開発し、2秒の時間分解能で肝臓でのICGの吸収変化を経時的に追跡するソフトウエアを開発した。さらに本法を用いて、肝臓におけるICGの血流による肝臓への運搬、細胞膜を介する肝細胞内への取り込み、細胆管への排泄の過程を解析できるかを検討した。装置の開発は近赤外光分析を応用した肝シヌソイドにおけるヘモグロビンの酸素飽和度測定の経験を生かした。Photodiode scannerは700nm-1000nmの波長領域を2秒という短い時間分解能で測定できるため、肝臓におけるICGの急速な取り込み、排泄の解析が可能となった。更に、家兎を用い、ビリルビンを投与してICGの細胞膜を介する取り込みを競合させる実験、ウアバインを用いてNa-K ATPase依存性の胆汁排泄を抑制する実験、低血圧による肝臓への色素の運搬を障害させる実験を行ない、ICGの肝臓での吸収、排泄の過程が近赤外分析を利用したICGクリアランス測定により解析できることを明かにした。さらに、本法を用いて肝臓の二つの肝臓、肝葉の血流、代謝を測定する分肝機能検査への応用を、犬を用いた同所性部分肝移植実験にて行ない、実用化できることを確認した。
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