研究課題/領域番号 |
05557062
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研究機関 | 京都府立医科大学 |
研究代表者 |
萩原 明郎 京都府立医科大学, 医学部, 助手 (90198648)
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研究分担者 |
下間 正隆 京都府立医科大学, 医学部, 助手 (30244601)
高橋 俊雄 京都府立医科大学, 医学部, 教授 (50079828)
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キーワード | 血管新生抑制因子 / 癌性腹膜炎 / 剤形 / TNP-470 |
研究概要 |
平成6年度の研究成果として、以下のような点があげられる。 (1)血管新生抑制因子の腹腔内局所滞留性 血管新生抑制因子をリピッドマイクロスフェアや乳酸ポリマーマイクロスフェアとすることに成功した。特に乳酸ポリマーマイクロスフェアは、作成後から投与するまでの期間内に経時的に形状が変化することなく極めて安定である一方、一旦生体内に投与後は生体内で分解吸収され局所残留毒性も無いこと、また生食内での血管新生抑制因子の放出速度は非常に安定で薬剤成分の徐放性の面でも優れた剤形であることが、IV VIVOやIN VITROの実験で明らかになった。 (2)血管新生抑制因子による治療効果の検討 血管新生抑制因子をリピッドマイクロスフェアとしたものにつき、各種の癌による癌性腹膜炎に対する治療効果を検討した。その結果、B-16メラノーマ、M5076細網肉腫、Walker205肉腫などの多種類の癌による癌性腹膜炎に対して治療効果のあることが明らかとなった。 またその治療開始時期と治療効果の関係について検討したところ、腫瘍血管の新生が開始される時期よりも以前に治療を開始すれば治療効果が著しいが、血管新生が確立した後に治療を開始したものでは、どの癌の癌性腹膜炎でも治療効果は乏しいことが分かった。 以上の結果、マイクロスフェア化された血管新生抑制因子製剤は、癌性腹膜炎に対して、その病巣の腫瘍血管の新生を抑制することにより、治療効果をあらわすことが明らかとなった。
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