研究概要 |
本年度も昨年度に引き続き、試作したジェットポンプを用いて山羊による急性実験を行ない、ポンプの改良を重ねることと、経皮的挿入手技の検討を行なった。また,ジェットポンプ内の流体の挙動とポンプ効率に関する流体力学的解析を加え、試験回路内で実際に測定、検討を行なった。 その結果、現在試作中のジェットポンプで少なくとも右心系での使用については、試験回路内で満足すべき性能が得られている。しかし、山羊を用いた急性実験で、大動脈圧など間接的にはほぼ満足すべき性能が確認できるが、ポンプの性格上、実際の補助流量の測定が困難であり、なかなか安定したデーターが得られていない。今後、回路,試験装置の工夫が必要である。 また、ポンプの大きさ,形状,経皮的挿入手技につては、基本的には実験動物と人間の右心系の形状の違いから最終的な判断はシュミレーションによるが、これについては実際に臨床で得られたデーターを基に検討している。 また、試験的に溶血試験も行なったが、ポンプが試作段階のため内面の研磨,断端の形成が不十分であり許容以上の溶血が確認された。しかし、今後改善の余地が充分に残された結果と考えられる。 総合的には、実際の臨床の場で使用可能なジェットポンプを完成させるには、解決すべき問題が多いが、基本的に補助に必要な性能は得られており、今後ポンプ形状などの問題点を解決し、動物による慢性実験を経て実用化の可能性は大いにあると考えられる。
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