| 研究課題/領域番号 |
05557064
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| 研究機関 | 京都大学 |
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研究代表者 |
和田 洋巳 京都大学, 胸部疾患研究所, 助教授 (90167205)
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| 研究分担者 |
公文 哲 味の素中央研究所, プロセス開発研究所, 所長
山下 俊三 森下ルセル総合研究所, 室長
佐藤 誠 森下ルセル総合研究所, 所長
横見瀬 裕保 京都大学, 胸部疾患研究所, 助手 (80231728)
乾 健二 京都大学, 胸部疾患研究所, 講師 (10193567)
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| キーワード | トレハロース / 肺保存 / 肺移植 / 細胞外液型 / ET-Kyoto液 / IT-Kyoto液 / ウイスコンシン大学液 |
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| 研究概要 |
われわれは、世界的に報告のないトレハロースを用いた臓器保存液を開発・検討した.トレハロース・グルコネート・ヒドロキシエチル澱粉(HES)を用いて、開発した細胞外イオン組成ET-Kyoto液と細胞内イオン組成IT-kyoto液で20時間肺保存実験を行い、ET-Kyoto液が有意に良好であることを証明した(Bando et al JTCS,1994)。ET-Kyoto液によって保存された肺は、移植後も保存前と同等の肺機能を維持し、現在臨床肺移植で標準的に使用されているユーロコリンズ液で保存された肺に比べ有意に良好な状態を示した.また、ET-Kyoto液の方がIT-Kyoto液に比較し、有意に良好な肺保存効果を示した.肺以外の臓器保存では細胞内液型組成液の方が保存に適していると考えられているが、肺保存では細胞外液型保存液の方が優れていることが明らかになった。
さらに、より長時間保存でのET-Kyoto液の効果の評価するため48時間の犬肺保存実験を行った.その結果、移植を受けた犬は術後6時間後に犠牲死されるまで生存可能であったが、その肺機能は充分ではなかった。また、この実験ではET-Kyoto液の至適組成も併せて検討するため、保存液中の一部の成分の濃度を変えた3種類のET-Kyoto液を試作し比較検討したところ、グルコネート含有量の少ない液で保存された群は移植後の生存率が有意に低く、ET-Kyoto液においてグルコネートが重要な成分であることが分かった。
以上の実験結果から、ET-Kyoto液で20時間の肺保存は十分に安全に行い得るが、より長時間の肺保存を可能にするためには保存液の改良が必要であることが判明した。現在、n-acetyl cysteine, cAMP, NitroglycerinをET-Kyoto液と併用することにより、犬肺30時間保存が可能であることが明らかになりつつある。現状では30時間保存可能な液はない。完成すれば、遠隔地よりの輸送や、待期手術が可能となり、心停止後の臓器提供の時に使用できる。初めての国産の長時間保存可能な保存液となる。
臨床応用に関しては世界の各施設(トロント大、ハノーバー大、ヨンセイ大、国立ソウル大)との共同研究で臨床応用の検討の可能性が開けた。工業的には比較的安価で、大量に生産できる見通しがついたとともに、ソフトパック化の検討に入ることができた。
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