研究課題/領域番号 |
05557066
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研究機関 | 慶応義塾大学 |
研究代表者 |
戸谷 重雄 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (40051205)
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研究分担者 |
上口 裕之 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (10233933)
若本 寛起 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (30230923)
清水 克悦 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (80216085)
左合 正周 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (60215704)
吉田 一成 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (70166940)
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キーワード | 神経栄養因子 / 神経成長因子 / アストロサイト / サイトカイン / 神経再生 / 脳虚血 / ドパミン / アデノシン |
研究概要 |
我々は傷害された神経組織の修復を目的とし、基礎実験を行い本年度は下記の結果を得た。1)ラット脳虚血モデルにおいて、in vivo microdyalysis法による採取した細胞外液中のadenosine,dopamineをHPLCを用いて測定すると、一過性にadenosine,dopamineが上昇する、虚血同時にpropentfyllineを投与すると、adenosineには影響を及ぼさないが、dopamineの上昇は着明に抑制されることが判明した。虚血時におけるdopamineの上昇は、cytotoxicに働くと考えられており、propentofyllineは虚血による神経細胞の障害を軽減する可能性が示唆された。2)NGFを培地中から除去することにより、中隔野コリン作動性神経細胞の変性が起こるが、IL-1などのサイトカインによりアストロサイトを活性化することにより、この変性がある程度防ぐことが可能であることが判明した。3)IK-1等のサイトカインは、アストロサイトの脳幹部コリン作動性神経細胞に対するCAT活性増強効果を更に増強することが判明した。この作用は、NGFにはなく、抗NGF中和抗体により抑制されないことから、アストロサイトは、NGFとは異なるcholinergic neurotrophic factorを産生し得る可能性が示唆された。今後、この未知の因子の同定を進める予定である。4)アストロサイトによるFGFの発現に関して、ELISA、Westem blotting法により検討しているが、これまでに培養アストロサイトによるFGFの発現を証明する結果は得られていない。今後、神経障害、修復のメカニズム、その過程に関与する因子を解明することにより、傷害された神経機能の回復を目指し、更に検討を続ける。
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