研究課題/領域番号 |
05557066
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研究機関 | 慶応義塾大学 |
研究代表者 |
戸谷 重雄 慶応義塾大学, 医学部, 教授 (40051205)
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研究分担者 |
清水 克悦 慶応義塾大学, 医学部, 助手 (80216085)
左合 正周 慶応義塾大学, 医学部, 助手 (60215704)
吉田 一成 慶応義塾大学, 医学部, 助手 (70166940)
河瀬 たけし 慶応義塾大学, 医学部, 講師 (40095592)
大谷 光弘 慶応義塾大学, 医学部, 助手 (80051605)
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キーワード | neuralregeneration / brain isdemia / adenosine / hypothermia / dopamine / astrocyte / neurotrophic factor / oytokine |
研究概要 |
我々は傷害された神経組織の修復を目的とし、ラット脳虚血モデル、並びに神経組織の培養系に於ける実験を行い、本年度は下記の結果を得た。1)ラット脳虚血モデルにおいて、adenosineの脳保護作用に注目し、dopamine取込み阻害剤であるnomifensineを用いて、脳虚血時に於けるadenosineの動態のメカニズムの解析を行った。線条体よりin vivo microdyalysis法により採取した細胞外液中のdopamine、およびpurine代謝産物をHPLCを用いて測定した。虚血時に細胞外液中のdopamineが上昇するが、nomifensineの投与により、虚血後のdopamineの消退が遅延し、adenosine濃度の上昇が認められ、dopamineがadenosineの放出を促進している可能性が示唆された。次に、虚血中より体温を32℃に保つと、adenosine濃度が上昇することが判明し、低体温の脳虚血保護効果にadenosineが関与している可能性が示唆された。2)アストロサイトは、神経障害の急性期に神経栄養因子を産生することにより、傷害された神経回路網の修復を促す作用があるものと考えられる。ラット脳の初代培養系を用いた実験系において、interleukin-1(IL-1)などのサイトカインが、アストロサイトのnerve growth factor(NGF)の産生を増強するが、fibroblast growth factor (FGF)などの、非分泌性因子、NGF以外のcholinergic neurotrophic factorの産生も増強されることが判明した。これらの因子の一部は未知の因子である可能性が強く、脳幹部コリン作動神経細胞に作用する因子のひとつに、ヘパリン親和性因子が存在することが判明し、現在この因子の分離精製を進めている。
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