研究課題/領域番号 |
05557072
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研究機関 | 福井医科大学 |
研究代表者 |
小辻 文和 福井医科大学, 医学部, 助教授 (50153573)
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研究分担者 |
前田 淳一 福井県畜産試験場, 研究員
仙田 享 福井医科大学, 医学部・附属病院, 助手 (60273017)
細川 久美子 福井医科大学, 医学部, 助手 (60199495)
富永 敏朗 福井医科大学, 医学部, 教授 (10026908)
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キーワード | 卵胞発育 / 細胞間相互作用 / 顆粒膜細胞 / 莢膜細胞 / 卵成熟抑制 / 胚盤胞 |
研究概要 |
1.人工卵胞壁の改良に向けて 前年度までの研究により、卵胞液内に含まれる諸物質は卵胞壁の機能保持に何らかの役割を果たすことが明らかにされた。そこで、今年度は、顆粒膜細胞と莢膜細胞の両者を持つコラーゲン膜(人工卵胞壁)を卵胞液で直接に刺激し、人工卵胞壁の“卵成熟抑止作用"がどのように変化するかを検討した。 この結果、20〜40%の濃度の、未熟な卵胞から得た卵胞液で人工卵胞壁刺激すると、卵成熟抑止作用は亢進したが、80%の濃度で刺激すると逆に低下した。しかし成熟した卵胞より得た卵胞液にはこのような効果が観察されなかった。 即ち、人工卵胞壁をある濃度の未熟卵胞液で刺激することにより人工卵胞壁の改良をはかることが可能であると考えられた。 2.人工卵胞壁上で培養された未熟卵の発生実験。 単独に培養された顆粒膜細胞上、莢膜細胞と共培養された顆粒膜細胞上(人工卵胞壁)、さらには40%の未熟卵胞液で処理された人工卵胞壁上で培養されたウシ未熟卵に人工受精を施し、胚盤胞までの発生率を観察した。しかし実験群間に有意差を認めることができず、人工卵胞壁を未熟卵の培養装置として実用化するためには、さらなる改良を加える必要があると考えられた。 3.莢膜細胞による顆粒膜細胞の機能分化調節の研究 今年度は、未熟卵胞および成熟卵胞において、莢膜細胞が顆粒膜細胞の微細構造をどのように変化させるかを観察し、(1)未熟卵胞では、莢膜細胞の存在下では、顆粒膜細胞の分化が抑制されること、(2)逆に成熟した卵胞では、莢膜細胞の存在下では、顆粒膜細胞の分化が亢進することを明らかにした。 これまでの研究により、莢膜細胞は、卵胞発育の過程で、顆粒膜細胞の機能分化を2相性に調節すること、即ち、卵胞発育の初期には顆粒膜細胞の分化を抑制し、発育が進むにつれ分化を促進する方向に働くことが判明した。
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