研究課題/領域番号 |
05557074
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
本田 孔士 京都大学, 医学部, 教授 (90026930)
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研究分担者 |
山本 文昭 京都大学, 医学部, 助手 (60191441)
楠城 紹生 ニデック株式会社, 技術部・眼光学機器開発3課, 課長
小椋 祐一郎 京都大学, 医学部, 助手 (70191963)
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キーワード | 網膜微小循環 / 温度感受性リポソーム / カルボキシフルオレセイン / ダイオードレーザー / 立体眼底撮影 / 蛍光眼底撮影 / 白血球 / 走査型レーザー検眼鏡 |
研究概要 |
立体撮影可能な眼底カメラに光凝固の為のダイオードレーザーを組み込み、レーザー照射後0.10秒から5秒の間隔で眼底を蛍光撮影できる装置を作製した。これにより眼底を観察しながらレーザーを発射することで、標的とする血管で温度変化を起こすことの可能なシステムを完成させた。 相転移温度が41度であるdipalmitoylphosphatidylcholine(DPPC)とdipalmitoylphosphatidylglycerol(DPPG)の脂質を用い、5,6-carboxyfluorescein(CF)を封入した約200ミクロンのsmall unilamelar vesicle(SUV)を逆相蒸発法およびエクストルーダーを使用して作製することに成功した。薬剤を加えて脂質膜を破壊しCFの含有量を算定し、ほぼ有効量が封入されていることを確認した。作製したCF封入SUVの温度感受性を調べ、ほぼ42度に脂質の相転移のピークがあることを確認し、生体を損傷せずに生体内で脂質内の含有薬物を放出できる温度であることを確認した。 作製したCF含有リポソームをサルの下肢静脈から注入し、眼底を上記のシステムにて観察しながら網膜静脈にレーザーを照射した。照射した場所から下流にのみ蛍光色素が流出するのが認められた。従来の蛍光眼底撮影とは異なり脈絡膜からの蛍光はなく、またレーザーを何度も照射することで繰り返し目的とする場所にのみリポソーム封入内のCFを投与することができた。レーザーを照射後異なる間隔で立体蛍光眼底撮影を行い、網膜微小循環を評価した。レーザーを照射した血管や周囲の網膜には明らかな異常は認められなかった。 網膜微小循環を評価する全く新しい方法として、核染色蛍光色素であるアクリジンオレンジをサルに静注し、走査型レーザー検眼鏡を用いて白血球の生体内染色を行い、網膜微小循環における白血球動態を観察できる方法を開発し現在その評価を行っている。これにより微小循環内の白血球の役割について明らかにされるものと思われる。
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