研究課題/領域番号 |
05557075
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研究種目 |
試験研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
眼科学
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
田野 保雄 大阪大学, 医学部, 教授 (80093433)
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研究分担者 |
松田 武久 国立循環器病センター, 生体工学部, 部長 (60142189)
石本 一郎 大阪大学, 医学部, 講師 (80159780)
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研究期間 (年度) |
1993 – 1995
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キーワード | 光二量化反応 / ヒアルロン酸 / コンドロイチン硫酸 / チミン / ケイ皮酸 / 癒着防止 / 硝子体 / 結膜 |
研究概要 |
網膜硝子体手術など多くの眼科手術では、結膜を強膜から剥離し、ジアテルミ-凝固や冷凍凝固を強膜面に行った後、結膜で再被覆する操作を行う。この際、両者の間に存在するテノン嚢と呼ばれる反応性に富む組織を傷付けるため、術後、結膜が強膜や眼筋と強固な癒着を形成する原因となる。術後に生じた瘢痕癒着は、再手術の際の妨げになることは決して稀ではない。本研究分担者は、生体物質であるムコ多糖類に光二量化反応により分子間架橋を形成する側鎖を導入した誘導体を合成した。この光架橋性ムコ多糖誘導体は、ヒアルロン酸、もしくはコンドロイチン硫酸の水素基を、チミンもしくはケイ皮酸と置換したもので、紫外線を照射すると、三次元的架橋構造を有する水不溶性のフィルムを形成する。このフィルムは細胞非接着性で、生分解性という特性を有するため、術後の癒着反応に対して防止効果を有する可能性がある。本研究においては、この光架橋性ムコ多糖誘導体を用い、眼科手術における癒着防止技術の開発を試みた。一方、硝子体手術の発達によって、種々の網膜硝子体疾患に対する周辺部の意図的網膜切開術が施されるようになったが、増殖性硝子体網膜症(PVR)や、低眼圧症の発症が問題視されている。これらの合併症は広範囲な網膜欠損部が存在するために起こるとされ、生体適合性の高い何らかの被覆が必要ではないかと考えられている。溶液状の光架橋性ムコ多糖誘導体は、紫外線照射により塗布した組織上で硬化する特性を有するため、空気灌流下硝子体手術において網膜裂孔部にこの物質を塗布し、光ファイバーによって導光した紫外線をこの部位に限局的に照射してin situで硬化させ、網膜欠損部を被覆することによりPVRの発症を予防しうる可能性がある。本研究においては眼内挿入可能なプローブを有する硝子体内紫外線照射装置を作製し、網膜硝子体疾患に対する新しい手術療法の開発も試みた。
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