研究概要 |
平成6年度中には口腔癌の進行度とPTHrP遺伝子発現量及びその合成量を検索するための十分な組織が収集できるものと考えている。又、PTHrP合成に関連する典型的な口腔癌細胞株約20種を検索したところ、PTHrP mRNA発現量の多い細胞株はHSC-3であることを見出した。更に、ヒトのPTHrP遺伝子のOpen Reading Frameの全部を含むcDNAのクローニングはRT-PCR法により成功した。本年度の研究により、HSC-3細胞におけるPTHrP mRNA合成は血清非存在下で、1,25(OH)_2D_3により促進されることを見出した(骨代謝、12(2);170、1994)。ラット及びマウスにおけるPTH/PTHrP receptor遺伝子のクローニングに成功し、PTHの標的器官である骨や腎でこのreceptor合成に対するdown-regulationは遺伝子発現抑制によることを発見した(歯科基礎誌、36(補冊);88、1994)。又、1,25(OH)_2D_3の分解の主要な酵素である24-水酸化酵素遺伝子のクローニングに成功した。高カルシウム血症作用のない活性型Vitamin D Analog、22-Oxacalcitriolが24-水酸化酵素の遺伝子発現を腎及び小腸で上昇させ、1,25(OH)_2D_3の分解を促進し、その血中レベルの減少を招くと報告した(Akeno N.et al.,Biochem.Pharmaco.,48;2081-2090、1994)。更に、1,25(OH)_2D_3合成の律速酵素である1α-水酸化酵素はv-myc transformedのmyelomonocytic cell lineでも発現しており、腎のものと同一の酵素であることを発見した(Endocrinology,134;2567-2573、1994)。腎細胞株(OK cell)では、1,25(OH)_2D_3により、25(OH)D_3-26,23-lactone生成が特異的に亢進することを見出した(Horiuchi N.et al.,Horm.Metab.Res.,27;83-89、1995)。
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