研究課題/領域番号 |
05557087
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研究分野 |
補綴理工系歯学
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
亘理 文夫 北海道大学, 歯学部, 教授 (70158682)
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研究分担者 |
西本 武雄 神戸製鋼所(株), 技術部・第二技術室, 次長
塙 隆夫 北海道大学, 歯学部, 助手 (90142736)
大川 昭治 北海道大学, 歯学部, 助手 (40001945)
近藤 清一郎 北海道大学, 歯学部, 助教授 (80018431)
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キーワード | 傾斜機能材料 / 歯科用インプラント / 人工歯根 / チタン / アパタイト / 生体親和性 / 原子間力顕微鏡 / CIP |
研究概要 |
平成5年度はハイドロキシアパタイト(HAP)材料の選択による耐熱安定性・寸法安定性の向上、種々のミクロ分析による状態分析・濃度勾配の測定、原子間力顕微鏡による界面の観察を行い、現在、動物実験の準備を進めている。 1.アパタイト材料の選択-HAPにはカラム吸着用の試薬(和光純薬)と1150℃焼成後粉砕して得られた粉末(住友セメント)の2種類を用い比較した。試薬を用いた際は加圧成形時の収縮が大きいこと、焼結作製後、遅発崩壊が起きるものがあり、難点であったが、大気中、焼結粉砕した定比組成のものを採用することにより、これらの問題点を解決できた。 2.加圧成形後のアパタイト高濃度部の先細り現象の改善-見掛け密度の高い、焼結済みのアパタイト粉末を採用したこと、および充填法の改良により先細りの問題を解消できた。 3.ミクロ分析-共焦点走査型レーザー顕微鏡、SEM、原子間力顕微鏡による観察とEPMA元素分析、顕微FT-IRによる官能基状態分析、微小領域X線回折による結晶構造同定を行った。表面分析は得られた試料のままで行い、試料内部の観察には非破壊のX線透過像、および切断研磨面について行った。 (1)X線透過像-Tiに比べ軽元素(Ca,P,O,H)からなるHAPが増すにつれ、X線が透過しやすくなり、コントラストが変化し、HAPが増加していく様子が見て取れる。また本方法によれば内部に挿入したTi板芯材が容易に確認される。 (2)EPMA線分析-切断研磨面についてEPMA線分析を行った。プローブ径<1μmのときは平均粒径50μmのアパタイト粒子をよぎるたびに発生するパルス状信号の特性X線の頻度として濃度勾配が示され、プローブ径300μmでは領域内の信号が平均化され、スムーズな元素濃度勾配として検出された。企図通りの濃度傾斜が得られていることが確認された。 (3)原子間力顕微鏡(AFM)像-チタン-アパタイト界面近傍を観察した結果、顕著な焼付層や中間組成層の形成は見あたらず、気孔を伴った物理的混合に近いことがわかった。また関連実験として象牙質、エナメル質のエッチング溶液中観察を行い、液中形状変化を連続観察を行った。 (4)微小領域X線回折-上部がTi、最下部でHAP50%の傾斜材断面各部から100μmφコリメータで領域制限したX線回折を行った。アパタイト濃度の変化とともに回折パターンが順次変化するが、配合濃度に比べ、結晶性にすぐれたTiの回折ピークが高く出やすい傾向が認められた。
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