研究課題/領域番号 |
05557089
|
研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
榎本 昭二 東京医科歯科大学, 歯学部, 教授 (40013940)
|
研究分担者 |
原田 清 東京医科歯科大学, 歯学部, 助手 (30228639)
朝比奈 泉 東京医科歯科大学, 歯学部, 助手 (30221039)
宮田 暉夫 (株)高研, 日本医用高分子研究所, 所長
|
キーワード | 人工骨 / BMP / 骨誘導 / 機能的顎骨再建 |
研究概要 |
口腔腫瘍切除後欠損した顎骨の再建は、形態のみならず咀嚼という上部消化器官の場としての役割を果たすべく機能的に行われることが望ましい。そこで我々は、従来の顎骨再建法に骨誘導能を具備させ、より早期により確実な機能回復を可能とする方法を追求し、今回の研究を行った。材料および方法:ウシ長管骨を塩酸にて脱灰し、調製した脱灰骨基質から塩酸グアニジンにて骨形成因子を含む画分を抽出し、ゲル濾過、陽イオン交換クロマトグラフィーを用いBMPを精製した。骨形成因子添加人工骨の作製は、上述により精製したBMPを仔牛真皮より抽出したコラーゲン(アテロコラーゲン)および、TBC(True Bone Ceramics)と混和した物。または、BMPをポリ-L-乳酸と複合した物。これらをラットの頭蓋骨欠損部に移植した。結果:骨形成因子添加人工骨は、両者とも早期より旺盛な骨形成反応を惹起した。移植後2週では、ラット頭蓋骨欠損部を埋め尽くす程の新生骨様組織像が観察され、さらに、移植後4週では、層板状骨様組織のみならず骨髄様組織までもが観察された。また骨形成因子を添加していない人工骨は、炎症性反応もほとんどなく、骨形成因子が添加できる材料としての安全性が確認された。また極最近の知見として、我々は、骨形成因子添加人工骨が吸収性を早くし、人工骨と生体骨が入れ替わる材料の開発に成功した。これは、BMPをポリ乳酸:ポリグリコール酸共重合体と複合化させる事である。ポリ-L-乳酸/BMP複合体と同様にこの人工骨を作製し、ラット頭蓋骨欠損部に移植したところ、上述の結果で得られたものより早期に新生骨が観察され、4週目に於いては完壁に人工骨と生体骨が置換されていた。さらに付け加えると、要したBMPの量がポリ-L-乳酸の時の半分でそれをなし得たのである。この事は、本研究で目指している骨誘導能を備えた機能的顎骨再建の確立に関して大変重要な結果である。
|