研究課題/領域番号 |
05557092
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
野田 忠 新潟大学, 歯学部, 教授 (00013970)
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研究分担者 |
大島 勇人 新潟大学, 歯学部, 助手 (70251824)
吉羽 邦彦 新潟大学, 歯学部・附属病院, 助手 (30220718)
鈴木 誠 新潟大学, 歯学部・附属病院, 講師 (50107778)
子田 晃一 新潟大学, 歯学部, 助教授 (90018755)
星野 悦郎 新潟大学, 歯学部, 教授 (90124619)
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キーワード | 偏性嫌気性菌 / Metronidazole / 齲蝕 / 感染根管 / 乳歯 / 小児 |
研究概要 |
乳歯の根尖病巣を形成した感染根管歯を有する患児6名を被験者とし、その被験者の病巣から試料を採取し、我々が確立した厳密な偏性嫌気性菌取り扱い技術を応用して、病巣の優勢菌276株を分離同定して細菌構成を調べた。その結果、この病巣で圧倒的多数(91%)を占める細菌が、偏性嫌気性の菌種であり、その分離菌種は、従来の報告と大きく異なることが明らかとなった(Microbial Ecology in Health and Disease 6巻6号 269-275頁1993年)。小児の口腔内へは、従来、好気的な細菌から侵入・定着し、増齢と共に偏性嫌気性菌が増えて来ると考えられていた。しかし、本研究の結果、比較的低年齢の小児の感染根管内の細菌叢が主に偏性嫌気性菌によって構成されていることが明らかとなった。 病巣細菌及び病巣に2次的に侵入する可能性のある細菌を殺菌できる手段の確立は、これらの口腔疾患治療手段の基本であるため、これらの細菌の全てに殺菌的に働く薬剤を検討した。その結果、偏性嫌気性菌に特に有効であるメトロニダゾールを中心に、シプロフロキサシン、セファクロルを混合し、乳菌の齲蝕・感染根管病巣細菌の全てを殺菌できることが明らかになった(Oral Microbiology and Immunology 8巻3号 172-176頁 1993年)。また、歯髄および歯周組織に対して、上記の混合薬剤が病理組織学的に影響がないだけでなく、効果的な2次象牙質の形成・誘導作用があることをラットやサルを用いた動物実験(Journal of Endodontics 20巻 1994年)で、少数例ながら確認している。したがって、本研究の結果、「病巣無菌化療法」による新しい乳歯齲蝕・感染根管治療法の基礎が確立された。今後、歯髄や歯周組織、後継永久歯に与える影響を調べる等、より広範な動物実験が必要と考えられる。
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