研究課題/領域番号 |
05557102
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研究機関 | 東京薬科大学 |
研究代表者 |
粟津 荘司 東京薬科大学, 薬学部, 教授 (60012621)
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研究分担者 |
細井 薫 明治製菓(株), 薬品総合所・製剤研, 室長
林 正弘 東京理科大学, 薬学部, 教授 (20012669)
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キーワード | Coco-2細胞 / ヒト結腸 / 吸収促進剤 / 粘膜付着性マイクロカプセル / ポリカーボフィル / 保水効果 / 小腸パイエル板 / エンドサイトーシス |
研究概要 |
【.encircled1.】ヒト大腸由来の培養上皮Caco-2細胞を用いて吸収評価系の確立を行った。漿膜(血液)側には1mMのCaCl_2の存在が必須で、さらにGlucoseを含む緩衝液が最適と考えられた。粘膜側に関しては、実際の管腔を想定して空腸部での吸収評価にはGlucose含有、結腸部での評価には、Glucose freeの緩衝液が適していると考えられる。難吸収性薬物のモデルにFD-4Kを用いた。EDTA、sodium caprate(C10)、acylcarnitineはFD-4Kの膜透過性を顕著に改善し、この結果はラット結腸の結果と類似していた。さらに、外科手術で摘出されたヒト結腸においても上記促進剤は有効であり、ラット、Caco-2、ヒトでの良い相関が示された。【.encircled2.】粘着付着性マイクロカプセルを製造するにあたり付着性を持つPolycarbophil(PCP)の有用性を検討した。その結果、PCPは付着性のもとになる保水効果に優れ、ラットの摘出消化管粘膜を用いた検討から、pH3の胃及びpH7の小腸への付着率は各々97%、84%といずれも高い値を示した。以上から、PCPは製剤化に有用であることが示されたがマイクロカプセルへのコーチング及びPCPと粘膜表面のムチン層との相互作用等の検討は次の課題として残された。【.encircled3.】ウサギ小腸パイエル板(PP)を用いたIn Situ閉鎖型灌流法の結果、レクチンの一種コンカナバリンA(ConA)は効率よく吸収され血中に出現することが分かった。この結果は従来のIn Vitroチャンバー法の結果を反映していた。また、チャンバー法により、マンノース存在下あるいはコルヒチン存在下、その吸収は有意に抑制されるところから、ConAの吸収はPP中M細胞表面のマンノース認識結合部位を介したエンドサイトーシスによることが示唆された。また、BSAのプロドラッグとしてConAとのコンジュゲートを純度よく合成する方法を確立し、合成品の吸収を検討したところ、BSAとしての吸収が増大することが示された。以上、【.encircled1.】-【.encircled3.】に関する今年度の研究は、一部課題が残されたが、全体的にほぼ当初の計画通りに進行し、次年度につながる成果が得られた。
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