研究課題/領域番号 |
05557103
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研究種目 |
試験研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
生物系薬学
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
大泉 康 東北大学, 薬学部, 教授 (00006355)
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研究分担者 |
石川 清文 萬有製薬(株), 創薬研究所, 次長
池本 文彦 萬有製薬(株), 創薬研究所, 副所長
松永 公浩 東北大学, 薬学部, 助手 (90222306)
古川 賢一 東北大学, 薬学部, 助手 (20165468)
中畑 則道 東北大学, 薬学部, 助教授 (60045804)
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研究期間 (年度) |
1993 – 1995
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キーワード | セストキノン / ジンゲロール / ミオシン / カルシウム / カルシウムポンプ / エボジアミン |
研究概要 |
筆者らは、従来の強心薬とは異なったメカニズムを持つ新しいタイプの薬を見出す研究を行なってきた。ジンゲロールの強心作用の解析を更に進めるため、そのアナログを合成し、ジンゲロールとの作用の比較を行なった。ジンゲロールの強心作用の主要メカニズムは筋小胞体カルシウムポンプの活性化であり、全く新しいメカニズムである。構造活性相関を検討するために、合成したアナログはいずれも心筋カルシウムポンプの活性化作用を示したが、その効力には明らかに差が見られた。そこで、これらの情報を基に更にアナログの合成を行ない、有用性の高い薬物を検索したいと考えている。 スポンジの強心成分セストキノンの筋蛋白質ミオシンへの作用を解析した結果、セストキノンがミオシン分子頭部(ミオシンATPase活性中心)の特異的なSH基を化学修飾することにより、アクトミオシンATPase活性を著しく昂進する事が明らかとなった。従って、セストキノンの強心作用は主としてミオシンATPase活性の昂進によるものである事が示された。また、セストキノンで修飾を受けるミオシンのSH基は、従来より知られるSH1、SH2とは異なる、重要な機能を担った新しいSH基である事がわかった。これらの研究成果は、ミオシンの構造と機能の関係の解明に、重要な知見を与えるものと思われる。 全く新しいタイプの強心薬である事が明らかになった植物の強心成分エボジアミンの、心筋カルシウム遊離チャンネルに対する作用を解析するため、心筋小胞体からのカルシウム遊離測定システムを確立させた。従来心筋小胞体は膜の透過性が高いため、カルシウム遊離測定は困難とされていたが、現在そのシステムを使ってエボジアミンの作用の検討が可能となった。 以上述べた天然物由来の強心薬は、強心薬開発研究に新しい流れを作るものであると期待される。
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