研究課題/領域番号 |
05557106
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研究種目 |
試験研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
生物系薬学
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
篠田 純男 岡山大学, 薬学部, 教授 (50029782)
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研究分担者 |
三好 伸一 岡山大学, 薬学部, 助手 (60182060)
山本 重雄 岡山大学, 薬学部, 助教授 (40033229)
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研究期間 (年度) |
1993 – 1994
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キーワード | 病原ビブリオ / 迅速同定法 / PCR / 溶血毒素遺伝子 / Vibrio vulnificus |
研究概要 |
ビブリオ属菌は自然環境水を本来の生息域とする細菌であり、コレラ菌や腸炎ビブリオなどの病原種を含んでいる。環境水中には病原種に類似した菌種が多く存在するので、病原種の鑑別には非常な長時間が要求される。また、日和見感染により致命的な敗血症を起こすことがあるが、その際には迅速な臨床診断が患者の救命につながる。免疫学的あるいは遺伝学的手法は特異性や感度に優れ、多くの生化学試験を省略して種の同定が可能である。例えば、polymerase chain reaction(PCR)法では菌の培養を行わずに直接検出も可能である。本研究は肝障害などの基礎疾患をもつ患者に致命的な敗血症を起こす病原ビブリオVibrio vulnificusの迅速簡便な同定法の確立を目的として行った。 本研究ではV.vulnificusの溶血毒素を、免疫学的および遺伝学的検査法の標的とした。まず、十分な免疫原を確保するため、その精製法を改良し、確立した。得られた抗血清を用いてヘモリジンが免疫学的に種に特異的な抗原であることを確認した。V.vulnificus溶血毒素遺伝子の塩基配列に従ってprimerを合成し、PCRと酵素免疫測定法を組み合わせたED-PCRを行なって本菌への有用性を確認し、患者材料特に血液からの検出時の問題点についての検討を行なった。血液を検査材料とした場合には、血液成分がPCRを妨害するので、遠心分離を行って菌体を血液から分離する方法を確立した。また、このPCRがV.vulnificusに特異性が高いことを確認した。さらに、溶血毒素の作用機構の検討も併せて行い、V.vulnificusやV.parahaemolyticusが持つ鉄獲得のためのキレーターであるシデロフォアが菌種に特異的であるので、その免疫学的な検出法の検討を行った。
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