研究課題/領域番号 |
05557107
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
石橋 貞彦 広島大学, 医学部, 教授 (90012616)
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研究分担者 |
黒川 知則 広島大学, 医学部, 講師 (00124793)
木村 栄一 広島大学, 医学部, 教授 (30034010)
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キーワード | 老化促進モデルマウス / グルコース代謝 / グルコース輸送担体 / サイトカラシンB / 酸化的ストレス / 活性酸素 |
研究概要 |
老化促進モデルマウスSAMを用いて、促進老化を示すP8系と正常老化を示すRI系を比較検討し、加齢による脳エネルギー代謝変動を究明した。P8系の脳において、一般に報告されている老化兆候発現に先だって申請者が見いだした一過性のグルコース代謝亢進に関し、解析を続けた。この亢進は、R1系を含め種々の対照マウスには認められず、脳エネルギー代謝におけるグルコース供給の重要性からみて、促進老化との関連が考えられた。サイトカラシンB結合による細胞膜グルコース輸送担体の定量から,上記の亢進は輸送担体数増加によると推定された。また、ウェスタン解析で増加した輸送担体は既知のものとは異なるタイプであることが予想されるに至り、解明を続けている。なお、この傾向は脳のうちで大脳皮質に特異的であった。 これらの検討を進める一方で、SAMの脳における他の変化を追求した。その結果、P8系において、脂質過酸化体や蛋白質カルボニル化の量等において、上記のクルコース膜輸送変化にきわめて類似した一過性上昇パターンを認めた。これらは、グルコース代謝の亢進に平行して酸素ラジカルあるいは酸化的ストレスが上昇していることを示すと考えられる。更に、この時期に一致して、酸化的ストレスに感受性の高い酵素の典型として知られているグルタミンシンテターゼ活性の著明な低下を認めた。グルタミンの脳における重要性からみて、意識深い発見と思われる。グルコース代謝と酸化的ストレスにおいて認められた変化の間の因果関係は不明であるが、両者の平行性、一過性、発現時期、等から促進老化の鍵となっている可能性が考えられ、これらにはたらきかける薬物の開発を期している。
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