研究課題/領域番号 |
05557112
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
寺田 弘 徳島大学, 薬学部, 教授 (00035544)
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研究分担者 |
堀 均 徳島大学, 工学部, 助教授 (90119008)
篠原 康雄 徳島大学, 薬学部, 助教授 (60226157)
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キーワード | ヘキソキナーゼ / がん細胞 / 抗がん剤 / 糖代謝 |
研究概要 |
申請者らは、がん細胞で観察される高いヘキソキナーゼ活性が、正常細胞ではほとんど発現していないII型と呼ばれるアイソザイムの顕著な転写亢進によって支えられているという事実を見いだした.本研究では、がん細胞特有のII型ヘキソキナーゼをターゲットとした抗がん剤の開発を志向した実験を行い、以下の成果を得た. 1.上述のような抗がん剤開発のためには、見いだされたII型ヘキソキナーゼの転写促進という事実が、ヒトにおいても普遍的に成り立つことが非常に重要である.現在まで、ヒトのII型ヘキソキナーゼに関する報告は全くなされていなかったので、まず、そのcDNA断片を調製し、ヒトのがん細胞での転写レベルを解析した.その結果、悪性度が高いヒトのがん細胞(HepG2)でも、II型ヘキソキナーゼが顕著に発現していることを見いだした(Cancer Lett.82(1994)27). 2.申請者らは前年度に、世界に先駆けてII型ヘキソキナーゼ遺伝子を単離することに成功し、その構造的特徴を明らかにした(生化学67(1995)137).本年度は、がん細胞において、本アイソザイムが、どのようにして高い転写活性を示すのか明らかにする目的で、プロモーター領域の解析を行った(Biochim.Biophys.Acta印刷中).現在、この領域の詳細な解析を進めるとともに、抗がん剤開発に向け、IIヘキソキナーゼの転写を抑制するための戦略を検討している. がん細胞では、ヘキソキナーゼはミトコンドリアに結合することによっても活性を亢進しており、その結合部位は外膜のポーリンであるとされている.我々はATPを直接引き渡す窓口として、内膜のADP/ATP透過担体が重要な役割を担うものと考え、その構造と機能に関する研究を行った.その結果、本輸送担体のヌクレオチド輸送機構を分子レベルで説明することに成功した(Biochim.Biophys.Acta印刷中、Biochemistry33(1994)9530).現在、ADP/ATP透過担体の阻害が、ヘキソキナーゼ活性に及ぼす影響について解析を行っている.
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