研究概要 |
1.心筋よりクローニングした2種類のKチャンネル(遅延整流型電流を流すKvl.2および一過性外向き電流を流すKvl.4)を卵母細胞に発現させ、それらの電流に対する抗不整脈薬の作用を検討し、代表的な第3群抗不整脈薬であるd-sotalol,MS-551,E-4031はそれらの電流に影響を与えないが、第1群に属するキニジンは両K電流を抑制することを明らかにした。K電流(遅延整流電流、一過性外向き電流、内向き整流電流)を抑制することがその作用メカニズムと考えられている第3群抗不整脈薬の代表的なものが心筋よりクローン化したKチャンネルの電流に影響を与えないということは予想に反する事実であったが、その原因については検討が必要である。さらに、その他の第1、第3、第4群に属する抗不整脈薬のうちネイティブのK電流を抑制することが知られている薬物のKv1.2電流、Kv1.4電流に対する作用を検討し、両K電流が抑制されるという結果を得ており、それに関しては現在まとめの段階である。 2.機能的スクリーニング法により、腎臓およびマクロファージからクローニングされた2種類の内向き整流特性を示すKチャンネルのアミノ酸配列の情報をもとにウサギの心筋より内向き整流Kチャンネル(RBHIK1)をクローニングした。RBHIK1の特性を卵母細胞の発現系を用い検討したところ、RBHIK1を流れる電流は強い内向き整流特性を示し、その活性化の閾値電位はK^+の平衡電位とほぼ一致していた。また、その電流は外液Ba^<2+>やCs^+によって時間依存的に抑制された。さらに、RBHIK1のmRNAの各種組識における発現をRNAブロッティングにより検討したところ、特に心筋においては心室筋に大量に発現しているのに対し心房筋にはほとんど発現していないことが明らかとなった。このRBHIK1を流れる電流に対する各種抗不整脈薬の影響は今後検討する課題である。
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