研究課題/領域番号 |
05557120
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研究種目 |
試験研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
応用薬理学・医療系薬学
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研究機関 | 慶応義塾大学 |
研究代表者 |
加藤 隆一 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (40112685)
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研究分担者 |
藤田 正敬 明治製菓(株), 薬品総合研究所・安全性研究所, 所長
安盛 俊雄 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (70182350)
永田 清 東北大学, 薬学部, 助手 (80189133)
小澤 正吾 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (20185581)
山添 康 東北大学, 薬学部, 教授 (00112699)
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研究期間 (年度) |
1993 – 1994
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キーワード | Ames試験 / 変異原性 / 発癌性 / 薬物代謝酵素 / 代謝活性化 / アセチル転移酵素 / 硫酸転移酵素 / 異種細胞内発現 |
研究概要 |
報告者らは、肝チトクロムP450によるN-水酸化を受けた環境変異原・癌原性N-ヒドロキシアリルアミンの活性化酵素であるアセチル、および硫酸転移酵素のクローニング、および異種細胞における発現系を確立した。Ames試験テスト菌であるサルモネラ菌には哺乳動物と異なり、N,O-アセチル転移酵素およびO-硫酸化酵素が欠損しているので、本試験研究では、哺乳動物由来のアセチルおよび硫酸化酵素をサルモネラ菌内で発現させ、より高感度の新しいAmes試験テスト菌株を樹立し、従来のテストに比べ、false negativeを少なくする目的で基礎的研究を行なった。その結果、本研究で樹立した2株のAmes試験新テスト菌株は、癌原性アリルアミン(アセタミド)に対して極めて高感受性を示した。特に、既存のAmes試験テスト菌株では検出できなかったベンチジンのような物質も高感度に検出できることが明らかになった。本研究により、従来、発癌性試験陽性であるが、Ames試験陰性を示す被検物質があることの原因と考えられた代謝活性化酵素欠損を分子生物学的手法により補うことで、Ames試験によるfalse-negativeの事例を少なくすることが可能であることが示された。また、COS-1細胞の発現系を用い、両酵素は産業廃棄物や、化学合成品であることが多い癌原性アリルアミン(アセタミド)のみならず、加熱食品中に含まれている癌原性ヘテロサイクリックアミンのN-水酸化体に対しても活性化能を示す酵素であることが明らかになった。すなわち、これら菌株を用いることにより、産業廃棄物、大気汚染物質、加熱食品中の癌原物質など様々な環境変異原物質を高感度に検出できると考えられ、今後、多くの物質について、本菌株の特性を明らかにし、有用性を検討する価値が高いと考えられる。
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