研究概要 |
目的 高齢者のための快適保温補助具に関する研究を行なってきた。これまでに下腿部や足裏の受容器における保温や刺激により核温や皮膚温や血流量などの温熱生理反応がどのような挙動をとるかについて実験を行い検討を加えてきた。本実験は、足部を被覆することが温熱生理反応に及ぼす影響について実験を行い考察することを目的としている。 方法 被験者は、年齢19-20歳の4人の女子学生である。平均身長は156.1【.+-。】3.9cm平均体重は47.5【.+-。】3.5kg,体表面積は1.41【.+-。】0.09m^2である。測定項目は、核温、皮膚温(胸、手掌、大腿、下腿、足背)、衣服内温度、衣服内湿度である。実験中は長袖のTシャツ、半ズボンを着用した。実験のスケジュールは20分間の椅座安静後メトロノ-ムのアンダンティノ80に歩調を合わせて20分間の足踏み運動を行った。これを再度繰り返してから40分間の回復期に入った。環境温度は、26℃、相対湿度は50%に設定した。足部を被覆するためにアンゴラ100%のソックスを着用した。それと比較検討するために素足での実験も行った。 結果 本実験の結果から興味深いことは、足部を被覆して足踏み運動を繰り返した場合の回復期には核温と胸部皮膚温が素足の場合の同一条件時より低く保たれているということである。それに反して足部と手掌の皮膚温は高く保たれており、しかも足部と手部の温度の挙動は類似している。これは下腿部や足部を被覆することが熱損失と相関があるように前腕部や手部を被覆することは体の温熱生理反応との関わりが深いと思われるので今後更なる実験を重ねてみる必要がある。
|