研究概要 |
本年度は,平成5年度,6年度の研究結果から明らかになった問題点の解決方法の実験的検討,および試作したネットワークの光電子集積回路化に関する基礎研究を行った。 1.波長検出用光電子集積回路(フィルタディテクタ)の試作で明らかになった光の斜め入射による波長特性シフトおよび波長間クロストークの問題ついて実験的考察を行った.特に,光の斜め入射の影響を設計段階で考慮した新たなフィルタディテクタを試作し,635nm〜830nmの範囲の4種類の波長を分光・検出することに成功した.さらに,本フィルタディテクタの特性をシミュレートする電子回路により,その波長間クロストークを十分な精度で補償できることを計算機シミュレーションを通して明らかにした.ただし,その補償精度はアナログ電子回路の演算精度に直接依存することが判明した. 2.これまでの実験結果を基礎に,各種光電子集積回路素子により光基本ゲートを構成した際の諸性能を,数値計算パッケージ等を用いた計算機シミュレーションにより評価した.特に,使用可能な波長数に関して評価した結果,光導波路幅を20μm程度に微細化し,誘電体多層膜フィルタの膜厚を8μm程度,レーザのゲインバンド幅を100nm程度とした場合,現在の加工精度で約8波長の多重化が可能であることが判明した. 3.光多重インタコネクションネットワークを集積化した場合を想定したレイアウトを計算機上で行い,波長多重化によりネットワークの面積的複雑さが波長数の2乗に反比例して減少することを明らかにした.すなわち,上記の考察で導出された波長数8の多重化が実現された場合,ネットワークの面積的複雑さは,約1/64に減少することを初めて示し,波長多重化の有効性を実証した.
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