研究概要 |
本研究では,複数の異なる知的エージェントが自律協調してタスクを実行する方式の確率を目的として,自由に行動し,環境に働きかけながら観測する視覚エージェントを試作し,実験を行う.具体的には,空中を遊泳しながら観測するエージェントと,床面を走行し,さらに視線を自由に制御する複数台のエージェントを試作し,それらが協調して実世界の定性的環境構造を認知し,さらに定量的局所地図を作成する能力の獲得を目標とする.この目標の達成のために,本年度行った研究活動は以下の通りである. 視覚エージェントの試作 4つの視覚エージェントを持つ走行ロボット,視覚エージェントとマニピュレータを持つ走行ロボット,空中を浮遊する視覚エージェントのハードウェア,それらを制御するソフトウェアを試作し,それぞれの性能を確認した.また,各視覚エージェントの視覚情報処理システムを試作した. 4つの視覚エージェントを持つ走行ロボットは,独立に回転運動が可能な4つのカメラシステムからなり,4つのカメラシステムは後で述べる視覚エージェントの協調方法により,互いに協調しながら,環境を観測することができる. マニピュレータを持つ走行ロボットは,触覚センサのついた2自由度の腕を2本持ち,物体に対して様々な働きかけを可能とする(押す,さわる等の動作). 空中を浮遊する視覚エージェントは,気球部と,姿勢制御のためのプロペラ部,画像入力のためのカメラ部からなり,地上で働くエージェントの様子や,環境を上空からみた様子を知覚することができる. 視覚情報処理システムは,実時間で動く対象を検出し,追跡する多重ウインドウ相関システムを供え,フローベクトルを実時間で算定することができる. 視覚エージェント協調の研究 4つの視覚エージェントを持つ走行ロボットにおいて,各々の視覚エージェントに埋め込まれた本能的行動により,4つの視覚エージェントが協調する方式を考え,その方式をシミュレーションと実験により検証した. 観測行動の動的プランニングの研究 本年度は,特に,空中を浮遊するエージェントと,地面を徘徊するエージェント間での協調について考察した.地面を徘徊するエージェントは,自らの視覚センサでは得られない情報を,空中を浮遊するエージェントに求め,自らの環境知覚をより正確なものにする.これに関しては,今後更なる考察が必要である.
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