研究概要 |
平成5〜6年度の2年間で,バーチャルリアリティ(VR)を用いた安全空間設計シミュレータの開発を目的として,迷路内の人間の避難行動実験を対象としたVRシミュレーションシステムを構築した.そして以下に示すように,実迷路を用いた被験者実験とVRシミュレーションの比較から,VR実験の再現性と防災上の訓練効果を確認した. (1)VRシステムの完成:CGを用いて作成した仮想空間を閉空間とする人間行動解析用のVRアプリケーションソフトおよび行動軌跡追跡ソフトの完成. (2)VRシステムを用いた迷路実験の再現:平成5年度に作成した避難空間を基に,迷路内照明・ドアの開閉,壁・天井・床などの質感の向上などの問題を解決し,平成6年度には,より実際に近い避難環境を再現した. (3)実迷路を用いた実験とVR実験との比較研究:東京消防庁池袋防災センター内にある煙体験コーナーの迷路を用いて被験者実験を行い,VRシステムの再現性の確認と防災訓練上の効果を検証した.すなわち,「実迷路のみを用いて避難行動をするグループ」「VR訓練(自分でVR操作する+VR画像のみの訓練)を受けた後に実迷路で避難行動をするグループ」「迷路の平面図を見た後に実迷路で避難行動をするグループ」に分けて,避難行動実験を行った.そして,実迷路を用いた避難行動とVRシニュレーション結果を比較することにより,VR空間での人間行動の再現性とVRによる擬似体験の防災訓練上の有効性を確認した. (4)より汎用性のある安全空間設計シミュレータ開発に向けた問題点のまとめと提言:上記(1),(2)、(3)によって行った実験並びにVRシミュレーション結果を検討・分析し,まとめた.また研究を通して浮かび上げってきた問題点を整理し,本研究で開発したシミュレーションシステムの今後の課題と展望を検討した.
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