研究概要 |
地震予知研究が施行錯誤の段階を越えていないのは,一つには力学的にみた地震の発生機構が未だに明らかになっていないためである.本研究では,現在最も実験データが不足している高温下における断層の力学的性質を,高精度で決めるための変形試験機の開発をおこなった.初年度には新しい高温二軸変形試験機を設計・製作して地震研究所に設置した(鷺宮製作所,RT-50型).また,今年度(最終年度)は,試験機を制御するためのフルデジタルコントローラ(鷺宮製作所,モデル2000)を開発・製作して,予定通り研究を終了した. 試験機は,油圧サーボ式垂直載荷プレス(最大動的圧縮力:500kN),垂直応力載荷用の手動油圧式横プレス(容量:300kN),高温加熱炉(1,000℃の設計で800℃までテスト済み).実験では,3つの直方体岩石試料(中央ブロックは40x40x70mm^3,横ブロックは20x40x50mm^3の大きさ)に垂直応力を加え,高速応答載荷プレスで中央ブロックに荷重を加え,ブロック間をすべらせて高温下での摩擦の性質を調べる.載荷システムには200Hz高速応答サーボ弁が使用されており,不安定すべりを制御しながら,断層の遷移挙動を精度よく調べることができる.また,試験機の制御装置はこの試験機のために新たに開発された制御装置であり,DSPとパソコンによる完全なデジタル制御を実現している.これによって,制御装置からアナログ調整部がなくなり,オートレンジ機能による高精度制御・ソフトによる制御信号の自由なデジタル処理・ソフトの変更のみによる多彩な変形実験が可能になった.
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