研究概要 |
1.静岡大学にワークステーションを導入し、国際学術情報ネットを利用するネットワークシステムを構築した。これによって大量データの高速解析のための環境がととのい,かつ名古屋大学とのデータ交換がきわめて能率的に運用できるようになった。 2.地殻歪解析のためのいくつかのプログラムを入手し,ワークステーション内に組み込んだ。 3.潮汐による地殻歪変化と火山活動を結ぶメカニズムにかんする力学理論的評価を進めた。 4.雲仙および伊豆大島火山の火山活動観測データの収集と整理・解析をおこない,潮汐歪方位との依存性を調べた。雲仙普賢岳溶岩ドームについては,気象庁によって連続録画されている火砕流/落石の監視ビデオ映像を収集し,火砕流の平均流速と区間流速,火砕流到達距離,火砕流継続時間を計測し,相互の関係を調べるとともに地震計記録との比較等をおこなった。その結果,(1)地震計に記録される震動の継続時間は,火砕流そのものの継続時間ではなく,火砕流にともなう落石の継続時間と考えられること,(2)雲仙普賢岳の火砕流発生は,1991年5月24日〜6月12日の期間については明瞭な潮汐依存がみとめられ,それ以降は降水量と相関していること等がわかった。 5.江戸時代以前の古記録の豊富な伊豆大島火山と富士火山について,史料中の噴火記述の収集と解析をおこない,潮汐と火山活動の関連を予察的に調べた。その結果,(1)富士火山の延暦19〜21年(800〜802年)噴火の詳細な噴火推移をあきらかにし,(2)伊豆大島の主要な噴火の開始日が,地球潮汐の14日周期成分と依存する関係をつきとめた。
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