研究概要 |
都市化評価指標の標準化に関する研究では、都市の性格を特徴づける人口1人当たりの収入や地方税などの幾つかの代表的な項目によって構成される総合的な指標を作り、その適用性を検討した。その結果、都市の多様性は、集団生物学における種の多様性を表すために用いられる情報量方程式を利用すると、都市多様性指数という形で求められることを見いだした。つぎに、都市ライフラインの健全度評価では、複数のライフライン、たとえば電気と水道と都市ガスなどの系が相互的な故障によって、どの程度相互に影響が波及するかを宇治市を対象として具体的に考察し、複数ライフラインの同時故障確率の評価方法を導いた。とくに、複数ライフラインの故障によって、経済損失がどの程度になるかを評価するモデルを提案した。さらに、都市空間の密集度評に関する研究では、阪神・淡路大震災における鉄道被害に適用し、24時間の任意の時間帯、たとえばラッシュ時であればどの程度になるかについての定量的評価方法を提案した。そして、これを阪神・淡路大震災に適用した結果、地震が発生した午前5時46分では、実際の被害はかなり安全側に出ていることを見いだした。また、午前8時であれば、死者、負傷者数は1,300人程度に増加し、その対応が極めて難しいことが見いだされた。そして、これらの成果を総合して、阪神・淡路大震災における最大犠牲者数を評価したところ、6,308名およそ1.3倍に成り得ることを明らかにした。
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