研究概要 |
本年度は先ず,秋田,宮城,新潟,富山の各県における過去の地すべり災害に関する資料を収集した。その発生時期を分類すると,いずれの県でも巨大地すべりの大半が融雪期に発生し,面積的には全体の7〜8割を占めることを確認した。現在融雪地すべり災害の県別地域特性について検討中である。 また,1986年度に建設省によって抽出された地すべり危険箇所の地すべり要因を分析し,特に秋田・宮城両県の地すべり危険度の検討を多変量解析法によって検討した。 一方,巨大地すべりの事例として,現在も融雪期に動きの見られる秋田県東鳴瀬村谷地地内の谷地地すべりを選定し,この頭部にテレメタリングシステムを設置し,冬期でも無人豪雪地帯で雪気象観測を行って,これと地すべり挙動の対応関係を調べる研究に着手した。本年度は,従来のシフトを操作容易なものにし,データの作表及びグラフ化を試みた。 地すべりをリモートセンシングの観点から研究するため,人工衛星データを収集した。この方法は植物の活性度と地表付近の水挙動との対応関係から地表の挙動を調べるもので,本年度は解析精度を上げるためプログラム作製に着手した。 さらに,河川水質から流域内の地質や植生状態,地すべりの有無等の検討を行うため,これら性状の異なる試験流域を選択し,基礎的データ採取の作業に着手した。
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