研究概要 |
(1)ターゲットの冷却方式の決定と基本設計 ターゲットは,固定,水冷によった.プロトタイプを作成しテストを進めている.入射した冷却水は,1mmの隙間を高速で走る.25℃で冷却すると,計算上銅板上のLiで122℃となるが,リチウムの融点は179℃である.現在までのところ予定値の3分の1の0.3mAの電流値まで問題がないことを確かめた. (2)ターゲットから発生した中性子のドシメトリーと単色性の最適化 現在までの中性子の発生テストで,150μAの陽子線をLiターゲットにあて,60cGy/minの中性子を発生させることに成功した.対チェンバー法により線量測定をした.目標の1mAでは360cGy/minに達すると考えられる.またガンマ線の混入率を対チェンバーで測定した.この混合率は当然小さい方がよい.結果は全体のビーム電流に渡って4%程度で非常に低かった.ターゲットから発生した中性子のエネルギースペクトルについてヘリウム3カウンターで測定を進めている.最も薄いLiターゲット(4μm)での結果は,入射陽子のエネルギーが2.8MeVの時広がり(FWHM)が83KeVであり,満足できるものであった.現在LETカウンターによる測定を開始した. (3)中性子のドシメトリー 中性子の発生量の絶対値(線量率)の測定は,対チェンバー法によって行った.この方法はもっとも安定で正確であるので^<252>Cfの線量測定でも採用した方法でありすでに実績がある.ただこの方法の問題は,対チェンバーの組織等価でない方のガンマ線を測定するチェンバー(^<252>Cfではグラファイトを使用した)の中性子の感度(もともとほとんど0なのであるが)の決定が困難であることである.ここではグラファイトチェンバーの代わりにGMカウンター(購入予定)をテストする.これはもっとも中性子の感度が低いからである.
|