研究課題/領域番号 |
05558072
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
大塚 康夫 東北大学, 反応化学研究所, 助教授 (20091663)
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研究分担者 |
朝見 賢二 大阪市立大, 工学部, 講師 (80202604)
加茂 徹 通産省, 資源環境技術総研, 主任研究員
板垣 省三 日本鋼管, 総合材料技術研, 主任研究員
佐藤 芳樹 通産省, 資源環境技術総研, 室長
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キーワード | Fuel窒素 / 石炭 / 脱窒素 / 鉄微粒子触媒 |
研究概要 |
石炭中のFuel窒素を無害なN_2として除去できる事前脱窒素法の開発に不可欠な最適炭種の設計原理を明らかにするため、窒素形態や炭化度の異なる8種類の石炭をさまざまな条件で熱分解した。その結果、固体チャーの脱窒素率は、液状生成物(軽質オイル・重質タール)中の窒素量やNH_3・HCN発生量とは関係が無く、N_2生成率と良い相関があることを指摘するとともに、N_2生成量は石炭の種類に著しく依存して10〜50%になり、加熱速度(10〜1500K/min)にはほとんど影響されないものの、熱分解温度(600〜1200℃)には左右され、N_2生成率は1200℃では65%に達することを見いだした。さらに、脱N_2率は、石炭中の窒素形態よりはむしろ鉱物質組成に支配されること、1wt%程度の少量の鉄微粒子が著しい触媒作用を示すことを明らかにした。 また、ESCAを用いて、鉄触媒とチャー中窒素との相互作用のダイナミックスを追跡し、表面では、鉄微粒子は吸着酸素を介してピリジン環窒素に配位して4級窒素を形成し、それがN_2として脱離するが、バルクになると、そのような相互作用は起こりにくいので、ピロール環に比較してピリジン環が残留しやすくなることが判明した。 次ぎに、このような熱分解で得た石炭チャーをガス化して残留窒素の行方を調べ、窒素は、触媒を用いない場合にはNH_3やHCNとして脱離する割合が多いが、一方、鉄微粒子が存在すると、チャー中の炭素より窒素の脱離が促進されるとともに、N_2への転換率は著しく向上して90〜95%に達することを初めて見いだした。鉄の代わりにアルカリ金属を用いた場合には、N_2生成がむしろ阻害されることも明らかとなった。このように、鉄微粒子触媒を用いることにより、石炭の熱分解とガス化の両方の段階で脱窒素反応が促進され、Fuel窒素を無害なN_2に分解できる新しい窒素除去システムが確立された。
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