研究分担者 |
米山 豊 (株)荏原インフィルコ, 主任
桐山 光市 (株)荏原総合研究所, 主任
荒木 信夫 国立長岡工業高等専門学校, 土木工学科, 助教授 (30193072)
小松 俊哉 長岡技術科学大学, 工学部, 助手 (10234874)
桃井 清至 長岡技術科学大学, 工学部, 教授 (60003852)
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研究概要 |
高温(55℃〜65℃)培養条件下での上昇流嫌気性スラッジブランケット(UASB)反応器の処理特性とグラニュレーション・メカニズム,及び高温培養汚泥の微生物生態学的相互作用を検討するために,長期連続実験を行った.その結果,以下の知見が得られた. (1)しょ糖を主成分とする人工廃水を用いた連続実験系では,高温嫌気性微生物群のグラニュール状増殖によって,TOC容積負荷で32kgTOC/m3・d(COD容積負荷で80kgCOD/m3・d以上),除去率80%以上という高負荷運転が可能であった.一方,酢酸基質を流入水とする連続実験系では,グラニュレーションが起こらず,許容負荷も10kgTOC/m3・d程度に止まった. (2)高温UASB反応器におけるグラニュレーションには,糸状増殖する酸生成菌によるグラニュール表面のコーティングが有効であった.それゆえ高温UASBでは,完全に酸生成化した(pre-acidified)廃水よりも,糖成分を含む廃水の方が適している. (3)高温メタン発酵系における酢酸の分解は,直接酢酸資化性メタン生成菌により分解される経路と,酢酸酸化(水素生成)菌と水素利用メタン生成菌との共生系による間接的な経路がある.培養温度が高い系では,後者の経路がより卓越してくる. (4)高温グラニュールのプロピオン酸分解能力は著しく低く,中温グラニュールと比較してプロピオン酸の分解過程がより律速であることが判明した. (5)高温グラニュールは灰褐色を呈した外層と,黒色の核によって構成された二重構造を示していた.核を構成する主要無機物質は,炭酸カルシウム,リン酸カルシウムを主体とする結晶物であった.
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