研究課題/領域番号 |
05558092
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
星 元紀 東京工業大学, 生命理工学部, 教授 (20012411)
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研究分担者 |
伊藤 良延 ニコン株, 光機設計部, (研究員)マネージャ
桜井 勝清 生化学工業株, 東京研究所, (研究員)次長
千葉 和義 東京工業大学, 生命理工学部, 助手 (70222130)
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キーワード | プロテアーゼ / 細胞内酵素活性 / マイクロインジェクション |
研究概要 |
生命の基本単位である細胞は、様々な内在性酵素の活性と局在性を厳密に制御することによって、その複雑で精緻な生命活動を実現している。現在までの研究手法は基本的に破壊検査によるものであり、実時間(real time)での酵素活性測定とその分布の動的変化の観察はほとんど不可能であった。本研究では、「生きた細胞」を「非破壊的」に用いて、細胞内酵素の分布と活性の変化を観察し測定する手法(観測法)を開発する。本年度は、分解されると発蛍光となる酵素基質を開発し、これを細胞内に注入し、顕微測光することにより酵素活性を測定した。 細胞膜不透過性の蛍光物質、7-アミノクマリン-4-メタンスルフォン酸のアミノ基に種々のペプチドを結合し、プロテアーゼ基質(Bz-Arg-CAMS,Z-Phe-Arg-CAMS,Z-Phe-Leu-CAMS)を合成した。これらをヒトデ卵内にマイクロインジェクションしたところ、それぞれの分解速度は、0.033、0.23、1.3(10^<-18>mole/min/oocyte)であった。またピラニン誘導体として、フォスファターゼ、フコシダーゼ基質を合成した。これらの合成基質を、ヒトデ卵にマイクロインジェクションして、一次元測光における基質の分解速度を定量中である。 細胞内外の酵素活性を別々に測定する手法(vectorial assay)を確立するために、ホヤの精子を用いて上記のプロテアーゼ基質を投与したところ、精子活性化に伴って基質分解量が増加することを見出した。このことは精子活性化に伴って細胞外に活性型プロテアーゼが分泌されることを示唆しており、現在検討中である。 疎水性の高いアミノ酸配列を持つプロテアーゼ基質は、水溶液になり難いことが明らかになった。これを避けるために、さらに親水性の蛍光物質の合成を検討している。
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