本年度は、まず、中枢神経系の定量解析の方法として現時点においてなにが最も有用かを検討した。我々の現在までの定量解析、文献的検討から現在定量解析の方法として最もバイアスがなく、ほとんどなんらの前提も必要とせず、理論的にもすぐれているdisector法が定量解析法として最適であるとの結論に達し、このdisector法を実施するためのシステムについてハードウェア、ソフトウェアの両面から検討した。disector法を実施することが可能な中枢神経系のデータベースを作成するには、少なくとも、次の3つを組み合わせることが必要である。1)定量解析(stereology)一般に重要な体系的無作為標本抽出(systematic random sampling)法、2)disector法に固有の少なくとも2平面でプロファイルを対応させる方法、及び、3)サンプリングした領域が全中枢神経系のどの部位であるかを示すためのマップ的極低倍像。1)に関しては光学顕微鏡にモーター駆動自動X-Yステージを取り付けコンピューターでコントロールすることで可能になりつつある。特に、中枢神経系では方向が重要なのでX-Y軸とは独立に組織の方向が変えられるようにステージを加工し検討している。2)に関しては物理的切片と光学的切片の両方について検討を進めた。特に、共焦点レーザー顕微鏡が使用可能になったので、モーター駆動Z軸コントローラーと組み合わすことで一定距離離れた蛍光染色(propidium iodide)連続光学的切片での解析についての検討を開始した。3)についてはTVカメラからビデオとして画像をコンピューターに取り込む方法と、写真をフォトCDとして取り込む方法とについて各々の長所短所を具体的に検討しはじめた。
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