研究課題/領域番号 |
05558094
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研究種目 |
試験研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
神経解剖学・神経病理学
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研究機関 | 和歌山県立医科大学 |
研究代表者 |
仙波 恵美子 和歌山県立医科大学, 医学部, 教授 (00135691)
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研究分担者 |
河合 良訓 和歌山県立医科大学, 医学部, 講師 (80211861)
刀祢 重信 東京都臨床医学研究所, 放射線医学研究部門, 主任研究員 (70211399)
宮本 博行 和歌山県立医科大学, 医学部, 教授 (90029778)
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研究期間 (年度) |
1993 – 1995
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キーワード | 偽狂犬病ウィルス / トランスニューロナル・トレーサー / 遺伝子導入 / 咬筋 / 三叉神経運動核 / 三叉神経中脳路核 / 逆行性輸送 |
研究概要 |
α-herpes virusの一種であるpseudorabies virus(PrV)Ka株のmutantを作製し、トランスニューロナル・トレーサーとしての特徴と限界について検討した。ウィルスの検出には、ウィルスのglycoproteinの一つであるgG(gX)をcodeする領域のBamHI siteにlacZを挿入し、β-Galの酵素反応を用いた。本法は、将来別の遺伝子を挿入し、in vivoで遺伝子導入を行う際に活かすことができる。PrV-β-Galをラットの咬筋に注入し、3〜4日後に潅流固定した。ウィルス濃度は1.0×10^7p.f.u./mlが最適と思われ、1.4×10^7p.f.u./ml以上の濃度では全例2日以内に死亡し、5.0×10^6p.f.u./ml以下では、ラットは死亡しないが脳への感染が認められなかった。1.0×10^7p.f.u./mlの濃度のウィルスを10μl注入したラット12匹中5匹が死亡し(死亡率42%)、生存例7匹中4匹で脳に感染ニューロンが認められた(成功率は33%)。全例で三叉神経運動核に陽性ニューロンが見られたが、三叉神経中脳路核に感染細胞が見られたのは2例だけで、その数も少なかった。また、一例で三叉神経節に多数の標識ニューロンが認められ、脊髄路核背側に二次ニューロンの標識が見られたが、視床には陽性構造は認められなかったので、順行性の輸送はないと思われる。中枢においてはPrVは主として逆行性に輸送され、縫線核群、青斑核、延髄の網様体、Edinger-Westphal核、視床下部のtuberal magnocellular n.(TM核)・外側核・室傍核などにβ-Gal陽性ニューロンが認められた。その他、胃・十二指腸や眼球にもPrVを注入して検討した結果、PrV(Ka株)のgG欠損mutantは体性および内臓性運動ニューロンにほぼ選択的に取り込まれ、その後はtransneuronalに移行して逆行性に運ばれ、二次あるいは三次ニューロンを標識するということが明らかになった。我々の当初の目的では、感覚ニューロンへの遺伝子導入に用いるということであったが、PrVはそれには適さないことがわかったので、現在他のウィルスについての検討を開始している。
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