研究課題/領域番号 |
05558100
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
岡本 治正 東京大学, 医学部(医), 助教授 (40134283)
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研究分担者 |
高橋 國太郎 東京大学, 医学部(医), 教授 (10010034)
見学 美根子 東京大学, 医学部(医), 日本学術振興会特別研
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キーワード | 線維芽細胞成長因子 / FGF受容体 / ツメガエル / 単クローン抗体 / 神経誘導 |
研究概要 |
近年、線維芽細胞成長因子(FGF)あるいは神経成長因子(NGF)などいわゆる成長因子が神経細胞の発生、増殖分化、損傷修復、生存維持に重要な役割を果たすことがin vitro培養系において示されつつある。しかしin vivo生体内でもこれら成長因子が同様な役割を果たしているか否かについては不明な点が多い。そこで本研究はFGFを例として成長因子の生体内機能研究のための新手法開発を目的とし、FGFの機能を特異性高く阻害できる物質として作用中和性の単クローン抗体、或はFGF受容体のdominant negative変異分子種(受容体のチロシンキナーゼ部位を欠失させたもの)を考え、これらをin vivoで局所的に投与してその阻害効果を検索する手法を、神経系が発生分化しつつあるツメガエル胚をモデル系として、新たに開発する事を目指した。本年度の実績は以下の通りである。 (1)ツメガエルFGFに対する単クローン抗体作製については現在進行中であるが、作用中和性の抗体はまだ得られていない。この点は残念であるが、単クローン抗体作製技術に伴う蓋然性から止むを得ない面もあると思われる。(2)一方FGF受容体については、嚢胚mRNAから5種類のFGF受容体cDNAをクローン化することに成功した。部分的ではあるがそれらの塩基配列の解析から、得られたうち2種のcDNAクローンは、すでに報告されたものに対応したが、残りの3種は未報告のものであった。従来哺乳類では4種類のFGF受容体しか知られておらず、我々の得た5種のうち1種は全く新しいタイプのFGF受容体分子に対応する可能性がある。またFGF受容体については、嚢胚期、神経誘導の時点で5種類ものFGF受容体が発現していることが明らかにされたわけであるが、このことはFGFによる神経誘導といってもその内容は一様ではなく、例えば中枢〓末梢、或は頭〓尾に沿った部域化が、FGF受容体の多様性によりもたらされる可能性を提起し、今後は各FGF受容体cDNAからdominant negative変異分子種を作成して、この問題についても解析して行きたい。
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