研究概要 |
本年度は,ブタの糞便フローラを生後10日,20日,40日,60日に検索し、このうち20日と60日の糞便を無菌マウスに投与して、投与糞便とマウス腸内に定着するフローラについて比較検討した。腸内フローラの日齢による変動は,離乳前の20日齢までは,好気性菌,特に大腸菌と腸球菌の菌数が高いが,離乳後は嫌気性菌が優勢となり安定したフローラとなった。20日齢のブタ糞便を投与された無菌マウスでは、投与後、1週目に比べて4週目でより単純化したが、優勢菌種であるBacteroidaceae,Eubacteria,Clostridiaはマウスでは優勢に定着し,予測に反してLactobacilliは投与糞便同様に10^9/gでマウス腸内に定着した。好気性菌である大腸菌,腸球菌,ブドウ球菌はほぼ投与糞便と同様の菌数となった。しかし,菌種レベルでは,ブタとマウスで違いがみられ,ブタ腸内ではきわめて少ない菌数のBacteroides fvagilis groupがマウスでは優勢菌種となり,マウスによる選択が行われたと考えられる。また,TATAC培地でも,マウスでは、ブタ糞便中と異なり,Enterococusが主となり,菌数では同じでも菌種による違いがみられた。現在,離乳直後のブタにProbioticsの1つであるBifidobacterium longumの培養液濃縮物を飼料に添加して腸内フローラならびに腸内腐敗産物を検索している。 ニワトリは、成鶏の盲腸内容物をマウスに投与し,ニワトリフローラマウスを作出したところ,優勢菌種はニワトリ同様に定着し,さらに,Campylobacter jojumi排除能があることから,菌種ばかりでなく,機能面でも、ニワトリフローラをマウスに移植できたものと考えられる。
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